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銀行融資が返済できないとどうなるのかな?差押されたりして事業継続は不可能になるのかな…。
ネットで調べると、返済できなければ破産しないといけないみたいな情報を目にするけど、返済できない時点で倒産して終わりなのかな…。
銀行融資が返済できないと今後どうなるのか、教えて欲しいよ。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
なお、この記事を書いている筆者は、2009年から現在まで資金繰りや事業再生コンサルタントとして活動しており、銀行融資が返済できないというお客様からのご相談を数多く受けています。
こういった経験を元に、この記事では、銀行借入の返済ができなくなるとどうなるのかについて解説します。
銀行融資が返済できなくなると、全額返済を求められたり、訴訟を起こされて差し押えされたりするのでは?といった心配をされる方をよく見かけますが、基本的に90日以内は何も起きません。
もちろん、返済が遅れることに対するペナルティはありますが、一括返済を求められたり、訴訟を起こされることはありません。
ちなみに、返済が遅れることによるペナルティは下記2つあります。
順を追って解説します。
延滞の状態にもよりますが、銀行融資の返済が遅れて延滞が発生すると今後の新規融資は受けにくくなります。
詳しくは「銀行融資の返済が遅れるとどうなる?原因別の判断や対処法を解説」という記事でも解説してますが、月を跨ぐことなく、月内に返済できれば問題ありませんが、月を跨いだ延滞は致命的で、今後の新規融資は非常に難しくなります。
銀行融資が返済できないと、約定返済日から日割りで遅延損害金(14%が多い)が発生します。
遅延損害金の利率は高いですが、あくまで日割りなので、早めに返済すれば高額になることはありません。
遅延損害金を支払った会社は、銀行の延滞先リストに記録されますので、次回、新規融資・借り換えを依頼するような際に、延滞履歴のある無しでは心証が異なります。
もちろん、延滞履歴が無い方が有利なのは説明するまでもありません。
銀行融資の返済が遅れるとペナルティを受けますが、事業継続を脅かすほどのペナルティではありませんので、90日以内の延滞はギリギリセーフのラインではあります。
しかし、銀行融資の返済が90日以上延滞すると、銀行取引約定書に基づき、期限の利益を喪失し、借入金の一括返済を求められます。
ちなみに、期限の利益の喪失の言葉の意味について、ベリーベスト法律事務所さんが運営している Legal Mall by VerybestというWebサイトに「パパッとわかる『期限の利益』とは?喪失する理由と対処法を解説」という分かりやすい解説記事がありますので、是非参考にして下さい。
90日以上、銀行融資が返済できず、期限の利益を喪失すると起こることは下記5つです。
上記のとおりです。
90日以上、銀行融資が返済できないと銀行口座は一時的にロック(凍結)され、ATMの入出金はもちろん、通帳記帳もできなくなります。
通帳を入れると「お取り扱いできません」と表示されます。
また、銀行口座に入っている預金は全額、借入金の返済に充当されますので、残高はゼロになります。
当座預金も同時に止まりますので、当座貸越はもちろん、手形決済もできなくなります。
また、当座預金口座に残高があると、口座が使えなくなると同時に残高はゼロになるのでご注意下さい。
期限の利益を喪失すると、KSC(全国銀行個人信用情報センター)にその事実が登録されますので、個人信用情報にキズがつき、いわゆる「ブラック」になります。
「ブラック情報」というのは存在せず、正しくは「異動情報」といいます。
異動情報の詳しい解説は別記事の「銀行融資をリスケすると信用情報に影響する?【結論:影響なし】」をどうぞ。
期限の利益を喪失すると、銀行は信用保証協会に代位弁済請求を行うための手続きに入ります。
このとき、無担保借入と有担保借入では今後の流れが若干異なります。
詳しくは別記事の「【保存版】信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?【徹底解説】」をどうぞ。
期限の利益を喪失すると、プロパー融資は一括返済を求められます。
ただし、債権者である銀行が直接回収するわけではなく、債権回収の委託や債権譲渡を受けた債権回収業者(サービサー)から請求を受けることになります。
債権が委託されるのか、譲渡されるのかは銀行よって異なります。
有担保債権の場合、債権回収業者(サービサー)が競売を申立てるので、任意売却交渉を行うときは、債権回収業者と交渉することになります。
任意売却の詳しい解説は「抵当に入っている不動産の保全を図る任意売却について解説【基礎知識】」をどうぞ。
銀行融資が返済できない時のよくある質問とその答えを解説します。
上記のとおりです。
資金繰りが回るのであれば、事業は続けられます。
銀行融資が返済できなくなっても事業継続している企業は沢山あります。
「信用保証協会に代位弁済したら破産しないといけない?【個人の自由】」でも解説しているとおり、そのような決まりやルールはありません。
破産したければすればいいですし、したくなければしなければいいです。
どうしても心配な方は、以下の記事を一通り読まれることをおすすめします。
基本的に黙っていれば取引先にばれることはありませんが、ばれるケースが2つだけあります。
詳しくは別記事の「保証協会に代位弁済した事実は誰かにばれる?【ばれるケースは2つ】」をどうぞ。
期限の利益を喪失するとブラックになるので、5年間は借入できなくなります。
個人信用情報を重視しているノンバンクのビジネスローン等は絶望的となります。
ただし、以下の資金調達方法であれば、資金調達できる可能性はあります。
それぞれの資金調達方法を簡単に解説します。
ノンバンクの不動産担保ローンは、個人信用情報よりも担保物件の評価を重視しているため、担保価値さえあればブラックでも融資を受けることができる可能性があります。
詳しくは別記事の「ノンバンクの不動産担保ローン5選【法人・個人事業主向け】」をどうぞ。
ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売買なので、取引先の信用力が高ければ売掛債権を買い取ってもらうことが可能です。
詳しくは別記事の「ファクタリングとは?仕組みや特徴、注意点を徹底解説」をどうぞ。
トランザクションレンディングは、プラットフォームのデータをAI(人工知能)が分析して、審査を行う融資の仕組みです。
詳しくは別記事の「トランザクションレンディングなら取引データで資金調達可能!サービス比較、仕組みを解説 」をどうぞ。
トランザクションレンディングのサービス提供している業者は増加傾向にあり、中には個人信用情報を見ずに審査を行うサービスがあり、個人信用情報を見ないところであれば、資金調達できる可能性はあります。
基本的に黙っていれば外部には分からないことなので、信用不安が起こることは考えにくいです。
銀行から直接訴訟を起こされることはありません。
しかし、銀行から債権回収の委託/譲渡を受けた債権回収業者(サービサー)からは訴訟を起こされます。
銀行が直接競売にかけることはありませんが、債権譲渡を受けたサービサーは競売にかけます。
保証付き融資の場合、保証協会が競売にかけます。
ただ、例外的なケースはあり、想定賃料を払うことで競売を回避できるケースもあります。
詳しくは別記事の「借入が返済できない!担保物件の競売は回避可能?【対処法あり】」をどうぞ。
都市銀行はこのような対応はしないので、都市銀行に担保提供している場合は任意売却する他ありません。
普通に作れますので、銀行融資の返済ができなくなるという事が分かった段階で、銀行口座を2つか3つほど、作っておくようにしましょう。
おすすめはデビット機能付きの銀行口座です。
支払いが楽なのはもちろん、経理作業を効率化できますので、最低1枚は作っておくようにしましょう。
最後に、銀行融資が返済できなくなる前に考えるべきことを3つ紹介します。
上記のとおりです。
銀行融資が返済できないと期限の利益を喪失し、個人信用情報にキズがつくため、数年間は借入が絶望的となります。
また、無担保のビジネスローンも審査に通らなくなるので、運転資金が必要であれば、返済できなくなる前に借りておいた方が良いです。
このまま約定返済を続けていたら返済に行き詰るという事が事前にわかっているのであれば、既借入金をリスケジュールして元本返済を猶予してもらいましょう。
詳しくは別記事の「リスケジュールのやり方【ポイントや依頼の流れを徹底解説】」をどうぞ。
銀行融資の返済ができなくなるには必ず原因があり、根本原因を究明しない限り状況は変わりません。
上記の状況を見直して、なぜ、銀行融資の返済ができなくなったのか、根本原因を究明するようにしましょう。
以上、銀行融資が返済できないとどうなるのか?を解説しました。
おわり。