
毎年リスケジュールを更新してるけど、新規借入ができないのに金利を払い続けるはしんどいから、代位弁済を検討している。
とはいえ、代位弁済の事実が誰かにバレたりしないか心配。取引先にバレて与信が悪化し、取引停止になったら非常に困る。
保証協会に代位弁済した事実が第三者にバレるかどうか知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
- 信用保証協会に代位弁済した事実は黙っていればばれない
- 信用保証協会に代位弁済した事実がばれるケース2つ
なお、この記事を書いている筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰りや事業再生コンサルタントとして活動しております。
これまでお手伝いさせて頂いた企業は年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験を元に、この記事では、既借入金が信用保証協会に代位弁済した事実は第三者にばれることはあるのか?ということと、ばれるケースを2つ紹介します。
信用保証協会に代位弁済した事実は黙っていればばれない


冒頭でもお伝えしたとおり、筆者は資金繰り・事業再生コンサルタントとして活動していますが、リスケジュールを何度も更新しているお客様から次のようなご相談をよく頂きます。
- 新規融資を受けられないのに、毎月、金利を払い続けるのが厳しい。
- 毎年の保証料を払うのが厳しい
新規融資を受けれない状態で、毎月の金利支払い、毎年の保証料の支払いは、融資を受けれない企業にとって資金繰りを圧迫する大きな負担です。
「代位弁済すれば金利と保証料を払う必要がなくなる、いっそのこと代位弁済した方が資金繰りは今よりも楽になる」と考えるのは、自然な成り行きだと思います。
しかし、代位弁済したいと考えるようになっても、そこですぐに実行に移す経営者は多くはありません。
なぜなら、殆どの経営者は「代位弁済の事実は誰にもばれたくない」と考えるからです。
代位弁済するということは、「銀行への返済ができないほど資金繰りが厳しい」からこそ代位弁済する訳ですから、代位弁済したという事実が誰かにばれたら、信用が著しく低下するのは間違いありません。
そのため、代位弁済を起こした事実が手形事故のように、金融機関以外にばれたりしないか心配される経営者が少なくないのですが、結論から言うと、信用保証協会の保証付き融資(マル保)が代位弁済した事実は、基本的に当事者である経営者が誰にも言わない限り、誰かにばれるような事はありません。
信用調査会社にもばれない
代位弁済を起こした事実は信用調査会社にばれる事はありません。
- 帝国データバンク
- 東京商工リサーチ(TSR)
ちなみに、東京商工リサーチのWebサイトに「企業倒産関連記事」という倒産情報を掲載しているカテゴリがあります。
ここに、破産申立てや手形不渡り情報が掲載されていますので、これを見た方から「代位弁済の事実が周知されてしまうのでは…」と心配される方がいますが、掲載されることはありませんので、ご安心下さい。
参考リンク:企業倒産関連記事:東京商工リサーチ
銀行は守秘義務があるから誰かに口外する事は無い
取引先と利用している銀行が同じだから、担当者の口から代位弁済を起こした事実がばれたりしないかな?と心配される方もいますが、銀行は守秘義務がありますので、誰かに口外するような事はありませんから、取引先にばれる事はありません。
そもそも、そのような事が起こってしまったら金融庁から厳しいお咎めが待っていますので、銀行の担当者が口外するような事はあり得ません。
信用保証協会に代位弁済した事実がばれるケース2つ


基本的に経営者が黙っていれば代位弁済を起こした事実が誰かにばれることはありませんが、絶対にばれないという訳ではありません。
状況によっては代位弁済を起こした事実を気づかれたり、ばれるケースが下記2つあります。
- 手形取引ができなくなるので取引先に怪しまれる
- 不動産を担保に融資を受けている場合、謄本を見られたらばれる
上記のとおりです。
手形取引ができなくなるので取引先に怪しまれる
代位弁済になると金融事故扱い(いわゆる「ブラック」)になりますので、手形取引ができなくなります。
そのため、今まで手形で取引をしていた取引先との取引を継続する時は、振り込みに変更してもらう事になります。
この時、取引先によっては、
「今までずっと手形で取引してきたのに、急に振り込みに変えて欲しいなんて怪しい。資金繰りが厳しいから手形を振り出さないのか、あるいは代位弁済でもしたのか…」
といった感じで怪しまれる可能性は十分あります。
ちなみに、「【銀行融資】リスケジュールした事実は信用情報機関に登録される?【結論:登録されない】」でも解説しているとおり、取引情報(延滞、代位弁済、強制回収などの履歴)や手形不渡り情報は信用情報機関に5年間履歴が残ります。
不動産を担保に融資を受けている場合、謄本を見られたらばれる
不動産を担保に入れて保証付き融資(マル保)を受けている場合、不動産登記簿謄本を見られたら代位弁済を起こした事実はばれます。
これは、登記簿謄本の【権利部(乙区)】(所有権以外の権利に関する事項)を見ればすぐに判明します。
【原因】の欄に移転の原因と日付が記載され、【権利者とその他の事項】の欄に信用保証協会という社名が記載されますので、謄本を見たらすぐに分かります。
ちなみに、登記簿謄本は法務局に行かなくてもネットで請求できるので、調べようと思えば簡単に調べられてしまいますので、不動産を担保に入れている方はご注意ください。


まとめ《手形取引がなく、担保を入れてなければばれない》
以上、保証協会に代位弁済した事実は誰かにばれるのか?ということについて解説しました。
代位弁済を起こした事実は手形取引がなく、不動産を担保に入れて借入を起こしていない限り、誰かにばれることはありません。
代位弁済しようかと悩んでいるけど、ばれたら取引停止になる可能性があるから支払いストップに踏み切れないという方の参考になれば幸いです。

