
債権者に競売を申立てられたけど、一度も入札されなかったよ。今後、特別売却になるみたいだけど、特別売却でも売れなかったら最後はどうなるの?
ネットで調べたら競売の入札期間は3回あるみたいだけど、一度も入札されずに入札期間が終わったら最後はどうなるのかな?
競売で売れなかった場合、不動産(土地・建物)を使い続けていても問題無いのかな?使っていてトラブルになったら困るから、詳しく知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
競売で売れ残りになると最終的に競売取消で終わり【結論】


競売にかけられると期間入札が行われ、一度も入札されないと特別売却という方法で最終的な競売手続きに入ることなりますが、特別売却でも売れなかった場合、競売にかけられた物件はどうなるのでしょうか。
結論から言うと、競売で売れ残りになり、特別売却でも売れなかった物件は競売手続き自体が取り消されて終わります。
競売自体が取り消されるので、所有権はそのまま
競売で期間入札を3回行っても全く入札がなく、売却基準額を見直したりしても入札の見込みがない場合、競売は取消になります(民事執行法第68条の3)。
(売却の見込みのない場合の措置)
出典:民事執行法第六十八条の三 – 電子政府の総合窓口(e-Gov)
第六十八条の三 執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に売却を実施させても売却の見込みがないと認めるときは、強制競売の手続を停止することができる。
競売自体が取消しとなりますので、所有権に変更はありません。
所有権に変更が無いということは、不動産(土地・建物)をそのまま使用し続けても全く問題ありません。
競売で入札されずに売れ残り、競売取消になる流れ


競売で入札されずに売れ残り、競売取消になる流れは下記のとおりです。
- 第1回目で売れなかった場合:売却基準価格を下げて再度期間入札を行う
- 第2回目で売れなかった場合:売却基準価格をさらに下げて再度期間入札を行う
- 第3回目で売れなかった場合:特別売却で売れなければ競売は取消
上記のとおりです。
第1回目で売れなかった場合:売却基準価格を下げて再度期間入札を行う
第1回目の期間入札で全く入札がなく、その後の特別売却でも誰も買受人がいない場合、裁判所は売却基準価格と買受可能金額の見直しを行います。
具体的には、第1回目の売却基準価格と買受可能金額を2~3割程下げて、再度期間入札を行うことになります(第2回目期間入札)。
第2回目で売れなかった場合:売却基準をさらに下げて再度期間入札を行う
第2回目の期間入札・特別売却で誰も買受人がいない場合、裁判所は再度、売却基準価格と買受可能金額の見直しを行います。
見直す価格は前回の価格からさらに2~3割程下げて、再度期間入札を行うことになります(第3回目期間入札)。
第3回目で売れなかった場合:特別売却で売れなければ競売は取消
第3回目の期間入札・特別売却で買受人がいない場合、裁判所は「当該物件は売れる見込みが無い」と判断し、競売手続きは取り消されます(民事執行法第68条の3)。
競売で入札されずに売れ残り、競売取消になる時のよくある疑問


最後に、競売で入札されずに売れ残り、競売取消になる時のよくある疑問を2つ紹介します。
- 入札期間中でも任意売却に応じて貰える?
- 競売が取消しになった時の固定資産税はどうなるの?
上記のとおりです。
入札期間中でも任意売却に応じて貰える?
債権者と協議して任意売却に応じて貰えれば任意売却は可能です。
競売は債権者であればいつでも取り下げることができますので、債権者の合意を得る事ができれば任意売却は可能です。
ただし、入札されてしまうと任意売却に応じて貰うことは非常に難しくなりまのでご注意ください(全く不可能という訳ではない)。
ちなみに、以下の記事で入札期間中に任意売却に応じて貰えたケースを紹介していますので、興味のある方はぜひ参考にして下さい。
競売が取消しになった時の固定資産税はどうなるの?
税理士に確認すれば分かると思いますが、所有者が変わらないので、いままでどおり固定資産税は発生します。
ちなみに、2000年7月頃、筆者の義父が所有していた土地が競売にかけられたことがありましたが、全く売れずに競売取消となりました。
そして、競売取消から数年後、役場の徴収課から「競売で売れなかった土地の固定資産税を納付して欲しい」という連絡が来たという出来事がありました。
その時の様子を以下の記事で紹介していますので、興味のある方は是非どうぞ。


まとめ
以上、競売で売れなかった場合、最後はどうなるのか?という事について解説しました。
特別売却でも売れなければ競売は取消されて終わりますので、所有権に変更はありません。つまり、そのまま使い続けても問題はありません。