
借入金の返済ができず、債権者に競売を申立られてしまったよ。
物件の保全を図たいけど、専門家に手伝って貰うと費用がかかるから自分達で動いてみたけど、結局ダメだったよ。
開札日が近づいてきたから、この際専門家に手伝って貰おうと考えてるけど、専門家ならなんとかできるのか知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
競売の開札日直前に物件の保全を図るのは不可能【結論】


1年に2回ぐらい、「開札日が近いけど、なんとか物件を守れないか?」というお問い合わせを頂く事がありますが、結論から言うと、開札日直前に物件の保全を図るなど不可能に近いので諦めるほかありません。
債権者が競売を申立てた時点で物件の保全のために動く、という事であれば、時間的な余裕も結構ありますので、保全のために色々動くことができますが、開札日直前になって「物件を守りたい」などと言われても、まず不可能です。
競売の開札日直前でも保全を図る事ができた事例はある


競売の開札日直前に物件の保全を図るのは超絶難しいですが、「絶対に不可能」とまでは言い切りません。
なぜなら、筆者が関与した案件で、開札日直前で保全を図ることができた事例が3つあるからです。
- 開札日の4日前にスポンサーが見つかったケース
- 親戚に相談したら競落資金を貸してくれたケース
- 開札日の3日前に競売を取り下げたケース
上記の順に事例を紹介します。
開札日の4日前にスポンサーが見つかったケース
2011年に筆者が関与した案件。
旅館が競売にかかっており、ダメ元でスポンサーを探していたところ、スポンサーが開札日の4日前に見つかり、開札日の2日前に関係者全員でミーティングし(筆者も同席しました)無事に旅館の保全を図る事ができた。というミラクルが起こった事はあります。
親戚に相談したら競落資金を貸してくれたケース
2010年にあったご相談ケース。
- 3年前に親戚から運転資金名目で1千万円借りたけど、1円も返済していない
- 返済していない事実を他の親戚は全員把握している。
- 近所のスーパーで親戚と顔を合わせる事があるが、話しかけても完全に無視。
- 一度、恥を忍んで「物件を競売から買い戻したいから500万貸して欲しい」と相談しに行ったことがあるけど、「消えろ」と一言いわれて追い出された。
普通に考えてこの親戚からこれ以上お金を借りるのは絶望的ではあったのですが、開札日の1週間前にダメ元で相談しに行ったところ、なんと、
「過去の金はとりあえず済んだことだからもういい。お前にも住む家が必要だろう。引っ越すにも金がかかるからこれで家を買い戻してこい」といって、競落資金の500万円をそっと渡してくれたケースがありました。
開札日の3日前に競売を取り下げたケース
2012年に店舗経営者の方から相談を受けたケースで、概要は以下のとおりです。
- 債権者である銀行に店舗物件の競売を申立てられた。
- 取下げの交渉を行っているが、債権者である銀行は「元本はとりあえず良いから、支払が遅れた金利を全額払って欲しい(13百万円ぐらい)。それなら競売の取下げを考慮する」の一点張り。
- 会社に資金的な余裕はなく、入金があれば即支払いに回ってしまうので、手元資金は殆ど無い
普通に考えて絶望的な状況ではありますが、交渉に交渉を重ねた結果、以下のような条件に代わりました。
- 13百万円一括 → 6百万円一括(残りは分割でも構わない)
大金ではありますが、親戚からなんとか6百万円を工面することができ、競売を取り下げる事できたケースがあります。
このようなケースを筆者は見てきていますので、「開札日直前に競売から物件の保全を図るのは絶対に不可能」とまでは言い切りたくないですが、こうしたケースはレア中のレアだと思いますので、基本的にこういった奇跡は起こらないと思っておいた方が良いです。
競売から物件の保全を図りたければ相応の準備期間は必要


競売から物件の保全を図るには、選択肢は2つしかありません。
- 自己競落(身内・協力者が落札する)
- 取り下げてもらう(任意売却)
いずれを選択するにしても「資金調達」する必要性が出てきます。
言うまでもなく、物件の保全を図るのに大きなお金が動きますから、資金調達するのは容易ではありません。
それに、お金を出す側からしても検討する時間は必要です。
数十万、数百万なら即断即決してくれると思いますが、数千万となると即断即決できる人は限られてきます。
このような点からも、開札日直前になって物件の保全を図るというのは、不可能に近いのです。
まとめ
以上、債権者に競売を申立られたけど、開札日間際でも物件を守ることができるか?という事について解説しました。
債権者に競売を申立てられる前後で、物件の保全のための動きをとることができれば、保全の確率も上がりますが、開札日直前になって「競売から物件の保全を図りたい」等と言われても、基本的には不可能です。
債権者に競売を申立てられるのは仕方ないとして、その後の動き次第で保全の確率を引き上げる事はできます。
ギリギリになればなるほど成功確率はどんどん下がりますので、早めに対処するよう、専門家に相談する等して物件の保全を図るようにしましょう。