
銀行から「借入金一覧表」を提出して欲しいと言われたけど、どのように作成すればいいのかな?
具体的な作り方や、記載必須の項目があれば教えて欲しいよ。
自分でゼロから作るのは面倒だから、書式(テンプレート)があると助かるよ。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
銀行融資を受けやすくするために借入金一覧表の作成は必須


「一つの銀行としか付き合わない」、「これ以上借入を起こすつもりは一切ない」とお考えの方は、借入金一覧表をわざわざ作成する必要はありません。
しかし、以下いずれかに該当する方は借入金一覧表の作成は必須です。
- 2つ以上の金融機関(銀行・政府系金融機関)と取引している方
- 新たな取引銀行を開拓しようとお考えの方
借入金一覧表の作成はそんなに難しいことではありませんので、今後、融資を受けやすくするためにも必ず作成するようにしましょう。
借入金一覧表とは
「借入金一覧表」とは、下図のように借入の条件や借入額、借入残高などを一目で確認できるようまとめた表です。


借入金一覧表に記載する項目
- 金融機関名 → 金融機関名を記載します。
- 借入種別 → 証書貸付、手形貸付、当座貸越など借入種別を記載します。
- 当初借入額 → 融資を受けた金額を記載します。
- 借入残高 → 現在の融資残高を記載します。
- 借入日 → 融資を受けた日を記載します。
- 最終返済日 → 最後の返済日を記載します。
- 借入期間 → 融資の返済期間を記載します。
- 返済日 → 毎月の返済日を記載します。
- 返済条件 → 元金均等返済、期日一括返済、元利均等返済など、返済条件を記載します。
- 約定返済額 → 毎月の約定返済額を記載します。
- 支払利息 → 毎月の支払い利息を記載まします。
- 返済合計 → 毎月の返済元本と利息の合計額を記載します。
- 利率 → 融資を受けた年利を記載します。
- 資金使途 → 運転資金、あるいは設備資金として融資を受けたのか、資金使途を記載します。
- 担保等 → 保証付、不動産担保、プロパーなのかを記載します。
借入金一覧表の利用シーン
借入金一覧表は、以下いずれかの場面で銀行に提出することになります。
- 既存取引行に新規融資を申込む時
- 取引したことが無い銀行に、新規で融資を申込む時
- 既借入金のリスケジュール(返済条件変更)を申込む時
銀行融資で使える借入金一覧表の作り方を3つの手順で解説


銀行融資で使える借入金一覧表の作り方を3つの手順で解説します。
- 手順①:借入金一覧表の書式(テンプレート)を入手する
- 手順②:金融機関から発行された明細を用意する
- 手順③:借入条件や融資残高など記載する
上記のとおりです。
手順①:借入金一覧表の書式(テンプレート)を入手する
まずは「借入金一覧表」の書式(テンプレート)を入手しましょう。
Excel(エクセル)でゼロから作成されるのも良いのですが、ゼロから作るのは面倒ですので、書式(テンプレート)をダウンロードして作成される事をおすすめします。
入手方法はネットで「借入金一覧表 テンプレート」というキーワードで検索すれば沢山出てきます。


書式(テンプレート)を探すのが面倒な方へ
書式をネットで探すのが面倒でしたら、筆者が実務で使っている書式で良ければ差し上げますので、ご自由にお使い下さい。
一応、Excel(エクセル)とスプレッドシートの2つ用意しておきます。
以下のリンクからダウンロードして下さい。
- Excel(エクセル)ファイル → zip形式で圧縮してあります
- Googleスプレッドシート → 左上メニューから、ファイル>ダウンロード>Microsoft Excel(.xlsx) or OpenDocument形式 (.ods) のいずれかをダウンロードできます。
サンプルデータも公開しておきますので、作成方法がよく分からないという方は、サンプルデータを見ながら作成して下さい。
借入金一覧表のサンプルデータ(Google スプレッドシート)
書式ダウンロード時の注意点
Googleスプレッドシートのコピー方法が分からない方からよく、共有リクエストを頂きますが、誰でもダウンロードできるよう設定しております(コピー可に設定してあります)。
共有リクエストを頂いても回答いたしかねますので、「コピー方法がよく分からない」という方はExcelファイルをご利用下さい。
手順②:金融機関から発行された明細を用意する
銀行や政府系金融機関から融資を受けた際、借入に関する明細を受け取ったと思いますが、こちらの書類を準備しましょう。
借入金一覧表に記載する情報はここから入手します。
ちなみに、明細の名称は金融機関によっては、以下のような名称の違いがあります。
- お借入返済予定明細書
- ご融資資金払込明細書
- お支払額明細書(日本政策金融公庫)
書類の名称は異なりますが、記載してある内容は同じです。
手順③:借入条件や融資残高など記載する
明細を見ると、融資総額、融資日、返済日、月々の返済額や、利息の金額、融資残高などなど、詳しい融資条件が記載されていますので、明細を見ながらファイルに入力していきます。
銀行が借入金一覧表を見て確認していることや考えていること2つ


銀行が借入金一覧表を見て確認していることや考えていることは下記2つです。
- 期中の融資残高と毎月の返済額
- 他行からの借入状況
上記のとおりです。
期中の融資残高と毎月の返済額
融資残高は決算書の「借入金及び支払利子の内訳書」を見れば、融資残高や毎月の返済額を確認することはできますが、期中の融資残高は決算書から読み取ることはできません。
例えば、決算期が3月末の企業が10月に融資を申込んできた場合、銀行の立場からしたら、4月から10月にかけての融資残高は全く見えません。
もしかしたら他行から借入を起こしているかもしれないですし、他行から大きな金額と調達して、すでに負債過多の水準にあるかもしれません。
あるいは、借換えなどでメインバンクが変わってる可能性もあるかもしれません。
このように、決算書の情報だけでは期中の融資残高や詳細な借入内訳の動きは全く見えません。
貸し手である銀行の立場からすれば、借入状況の分からない企業に安易に貸出できませんし、判断のしようもありませんから、借入状況をリアルタイムで伝えるためにも、借入金一覧表があると銀行も判断しやすくなります。
他行からの借入状況
他行からの借入状況は、銀行が最も気にしている情報といえます。
なぜなら、銀行は借入金一覧表から次の情報を読み取ることができるからです。
- メインバンクではなくサブ行から融資を受けている → メインバンクに融資を断られたのでは?
- 直近で他行から受けた融資の金利が平均より高い → 他行に「危険な融資先」と判断されたのでは?それなら当行も慎重に…。
- 他行の融資残高が伸びてきている → 当行も融資を提案できないか?
- 他行の融資シェアを獲得するために借換えを提案してシェアを伸ばせないか?
などなど、良くも悪くも借入金一覧表から、こういった情報を読み取っています。
そのため、借入金一覧表を提出したことがきっかけで融資が受けにくくなることも当然あります。
しかし、情報開示を行うことで積極的に融資の提案をして貰えるようになったり、「こんな制度融資がある」などといった支援を受けやすくなりますので、借入金一覧表は必ず作成するようにしましょう。
まとめ
以上、銀行融資で必要な借入金一覧表の作り方を3つの手順で解説しました。
書式も無料で配布していますので、書式を探すのが面倒な方はぜひご活用ください。
ちなみに、「【基礎知識】資金繰り表を作成するポイントや注意点を解説【将来の危機を察知】」という記事で、資金繰り表の作り方を解説していますので、興味のある方は是非どうぞ。
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