
ウチの会社は負債が多いから倒産するかもしれない。最後は破産するしかないのかな…。
設備投資をしたけど思うように受注が取れず、返済に窮するようになってしまった。
多額の負債を抱えてしまい、このままだと会社が倒産するかもしれない。そうなったら破産するしかないのかな。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
負債が多くても会社は倒産しないし破産する必要も無い【結論】


多額の負債を抱えた経営者様からよく、負債が多くて潰れそうというご相談を頂く事が多々あります。
一例を上げると以下のようなケースです。
- 業績悪化で年商よりも負債の方が多い会社
- 過去の不動産投資や設備投資が原因で売上の何倍もある負債を抱えている
こういった状況下にある方から「負債が多くて倒産しそうです。破産するしかないですよね」と言われる事が多々ありますが、結論から言うと、負債が多いからと言って会社が倒産する事はありませんし、破産する必要もありません。
負債が多くても資金繰りが回っている間は問題無い
基本的に、どれだけ多額の負債を抱えていたとしても、資金繰りが回っている間は特に問題ありません。債務超過でも資金繰りが回っていれば会社は倒産しません。
しかし、負債が少なくても資金繰りに行き詰ってしまえば会社は倒産します。
負債が多いからと言って破産しないといけないという決まりは無い
破産するしないは、あくまで当事者の自由意志で決めるものであって、破産するにあたり、以下のような決まりごとは存在しません。
- 負債が○億円以上あれば破産しなければならない
- 債務超過になり、○年以内に解消できなければ破産しなければならない
つまり、破産するしないを決める要因はあくまで当事者が「破産しよう」と決断した時に破産するものですので、したければすれば良いですし、したくなければしなければよい、というだけの事なのです。
ちなみに、「借入金の返済ができないとどうなる?債権者に大変な事になると言われたけど破産するしかない?」という記事でも解説しているとおり、債権者の嘘を信じて破産するケースが少なくありませんので、気を付けましょう。
【例外】債権者から破産を申立てられることがある
例外的に、当事者が破産したくないと思っていても、債権者に破産を申し立てられる「債権者破産」という法的手続きがあります。
債権者破産は非常にレアケースなので、普通に会社を経営している分には債権者破産を申し立てられるような事は殆どありません。
しかし、以下のようなケースに該当するようであれば、債権者破産を申し立てられる可能性はあると言えます。
- 粉飾で金を引っ張り、その金をどこかに隠した場合
- 多額の現預金があるのに、返済しない場合
- 実質的に経営破たんしているのに、資産を贈与したり、売却するのを止めるため(詐害行為の防止)
つまり、悪どいことをしていない限り、債権者破産を申し立てられるような事は殆ど起こりません。
債権者破産の費用は債権者が負担する事になりますので、この点からも申し立てられるような事は殆ど無いと言えます。
負債が多いと会社が倒産するという良くある勘違い3つ


最後に、負債が多いと会社が倒産するという良くある勘違いを3つ紹介します。
- 返済負担が増えることで資金繰りが悪化して最後は倒産する
- リスケジュールで元本を猶予して貰っても金利支払いで資金繰りが苦しくなる
- 営業資産を担保に入れているから競売に掛けられて事業継続ができなくなる
上記のとおりです。
返済負担が増えることで資金繰りが悪化して最後は倒産する
負債が多いと月々の返済負担は大きくなりますから、資金繰りが悪化するのは間違いありません。
とはいえ、返済負担が厳しければ無理して返済しないでリスケジュール(条件変更)を依頼しし、元本返済を猶予してもらう事で、月々の返済負担を押えることができますので、資金繰りは改善します。
ちなみに、以下の記事でリスケジュールについて詳しく解説していますので、参考にして下さい。


リスケジュールで元本を猶予して貰っても金利支払いで資金繰りが苦しくなる
負債が多いと借入金の金利支払いで利益の大部分を食われたり、金利支払いが原因で最終赤字になってしまう場合があると思います。
このまま何もしなければやがて倒産してしまうのは間違いありませんが、このような場合でも営業利益次第ではありますが、以下のように生き残りの選択肢は残されています。
- 負債を適正な状態に圧縮する → 第二会社方式、債権放棄など
- 利息の支払い自体を止める → マル保融資は代位弁済、プロパーはサービサーに債権譲渡 or 時効狙いなど
営業利益が出ている事が前提ですが、負債がいくら多くても営業利益が出ている限り、選択肢は残されているのです。
ちなみに、以下の記事で生き残りの選択肢をいくつか紹介していますので、興味のある方は参考にして下さい。
営業資産を担保に入れているから競売に掛けられて事業継続ができなくなる
営業資産を担保に入れていて、借入の返済ができなくなった場合、債権者に担保権を実行され、競売による換価処分をされてしまいます。遊休資産なら問題ありませんが、営業資産を競売にかけられると事業継続が不可能になります。
とはいえ、こういった状況に陥ったとしても、以下のような選択肢が残されています。
- 任意売却
- 近隣相場に則った賃料程度の支払いをするよう交渉する
営業資産を担保に入れており、返済ができなくなっても、こうした保全策は残されているのです。
ちなみに、以下の記事で生き残りの選択肢をいくつか紹介していますので、興味のある方は参考にして下さい。
- 任意売却 → 任意売却で会社の営業資産である不動産、個人所有の不動産の保全を図る
- 賃料程度の支払いをするよう交渉する → 近隣の相場に則った賃料を払うよう交渉する【想定賃料を払う】
まとめ
以上、負債が多いと会社は倒産して破産しないといけないのか?という事について解説しました。
負債が多いからといって会社は倒産しませんし、破産する必要もありません。
また、「借入金の返済ができなくなると最後はどうなるの?【結論:破産・放置という選択肢がある】」でも解説しているとおり、全く返済ができなくなっても破産か放置か、という選択肢が残されていますので、負債が多いから破産しなければならないということは無いのです。