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【注意】銀行融資を受けられない会社の決算書の特徴17選


銀行融資は決算書の内容が重要なのは理解しているけど、融資を受けられない会社の決算書は具体的にどのような特徴があるのかな?
赤字や債務超過だと難しいというのは分かるけど、その他にどのような決算書だと融資を受けられないのかな。
銀行融資を受けやすくするためにも、融資を受けられない決算書の特徴を詳しく知りたいよ。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
銀行融資を受けられない会社の決算書には共通の特徴がある


銀行融資の審査は、各銀行毎に独自の審査基準がありますので、審査は一律ではありませんが、銀行融資を受けられない会社の決算書には共通している点がいくつかあります。
ちなみにこれは銀行だけでなく、政府系金融機関にも共通していますので、今後、融資を受けやすくするためにも全ての項目をきちんと押さえておきましょう。
銀行融資を受けられない会社の決算書の特徴17選


銀行融資を受けられない会社の決算書の特徴を17ケース紹介します。
- 2期連続赤字決算
- 税金・社会保険料を滞納している
- 貸付金・仮払金が多い(特に役員貸付金)
- 減価償却の未計上
- 毎月の試算表が出てこない
- 決算書の勘定科目内訳書の記載が雑
- 土地・投資有価証券に大きな含み損を抱えている
- 実質債務超過に陥っている
- 自己資本比率が低い(あるいはマイナス)
- 売掛金・棚卸資産が売上規模に比べて多い
- 高金利の融資を受けている
- 融通手形を発行している
- キャッシュフロー計算書を作成していない
- 返済計画に無理があることが明か
- 遊休資産の売却が進んでいない
- 資金繰りが厳しいのに効果の無い設備投資を行っている
- 赤字なのに社用車に高級車を使用している
上記のとおりです。
2期連続赤字決算
赤字決算が2期連続で続くと、銀行融資は非常に厳しくなります。
「【銀行融資】赤字決算でも融資を受けることはできる?【可能だけど簡単ではないです】」という記事でも解説しているとおり、赤字が1期だけであれば、融資を受けれるケースがありますが、赤字決算が2期続くと銀行の見方は大きく変わります。
赤字決算が続くと銀行は「2期連続で赤字決算ということは、3期目も恐らく…」というように、赤字が恒常化したのではないかと考えますので、新規融資は非常に厳しくなります。
【例外】2期連続赤字でも役員報酬が高ければ状況が異なる
2期連続赤字だと基本的に新規融資は非常に厳しいですが、例外があります。
例えば、会社の赤字が500万円程度であるのに対し、役員報酬を3,000万円取っているようなケース。
- 役員報酬:3,000万円
- 当期損失:▲500万円
決算は赤字ではありますが、経営者の役員報酬を考慮すれば実質的にはこの会社は黒字だと考えられます。
このようなケースは、返済資金が足りない時は経営者の個人資産から融資の返済資金が捻出可能と銀行は考えますので、役員報酬が高い時はトータルで考慮する事があります。
税金・社会保険料を滞納している
「【銀行融資】税金・社会保険料を滞納したら借入できない?【プロパー以外なら可能】」でも解説しているとおり、税金や社会保険料を滞納すると、銀行のプロパー融資は絶望的となります。
ただし、マル保(信用保証協会の保証付)融資や政府系金融機関であれば、以下いずれかのケースに該当する場合、融資を受けれる可能性はあります。
- 滞納額が少額な場合
- 滞納状態を短期間で解消できる(数ヶ月以内に滞納の解消が可能)場合
- 分納交渉が済んでおり、何回か納付実績がある場合
上記項目に1つも該当していなければ、銀行融資を諦める他ありません。
貸付金・仮払金が多い(特に役員貸付金)
「【銀行融資】残高が増えると評価が下がる決算書の勘定科目5選」とい記事でも解説しているとおり、貸付金や仮払金は粉飾で使われやすい科目なので、残高が多いと銀行に警戒され、新規融資は難しくなります。
特に役員貸付金は、「【銀行融資】役員貸付金が原因で融資を断られた!発生原因や解消方法を解説」という記事でも解説しているとおり、粉飾だけでなく、経営者個人や、関係会社への迂回融資等といった資金使途違反の疑惑を持たれやすいです。
また、役員貸付金の残高が多いと銀行から「役員貸付金を解消しない限り新規融資は出せません」と言われる事もありますので、残高が増えないよう注意しましょう。
減価償却費をきちんと計上していない
減価償却費をきちんと計上しないということは、本来計上しなければならない経費を計上せずに決算することになるので、損益計算書上の利益が増えます。
これは、正しい会計処理をしておらず、利益を水増ししていることになるので、銀行から「粉飾決算」とみられます。
固定資産一覧表を見ればすぐにばれる
減価償却費をきちんと計上しないと、損益計算書上の利益は増え、見栄えは良くなると思いますが、決算書の固定資産一覧表を見ればすぐにばれるので、やっても意味無いです。
そればかりか、銀行から「粉飾する会社」というように見られようになるので、今後の銀行付き合いに悪影響しかありません。
プラスになることは一つもないので、減価償却費はきちんと計上するようにしましょう。
毎月の試算表が出てこない
新規融資を依頼する際、銀行から試算表の提出を求められますが、毎月の試算表が出てこないと銀行は警戒します。
試算表は直近の経営状況を確認するための重要な資料です。
いくら直近の決算が良かったといっても、決算月の数か月後に業績が悪化している可能性はゼロではありません。
こうしたことを確認するためにも、試算表は非常に重要な資料となるのですが、この大事な資料が出てこないと銀行は警戒するようになります。
- 試算表の数字を調整するために時間がかかっているのか
- 経理がずさんだから試算表の作成に手間取っているのか
- 試算表の作成ができないぐらい会社の経理体制が整っていないのか
上記のような悪いレッテルを貼られてしまい、今後の融資は難しくなります。
毎月の試算表は銀行から求めがあればすぐに提出できるよう、経理体制を整える、あるいは試算表の作成が容易なクラウド会計システムに切り替えるなど、対策するようにしましょう。
決算書の勘定科目内訳書の記載が雑
銀行は決算書の数字だけでなく、勘定科目内訳も細かくチェックしていますので、勘定科目内訳が雑だと、銀行から不審に思われたり、「この会社は大丈夫か?」という不安の目で見られたりします。
よくあるケースは下記のとおり。
- 預貯金の残高が間違っている
- 借入金及び支払利子の内訳が間違っている
- 50万円以上の残高がある売掛金をまとめて記載している(50万円以上は個別記載)
- 雑益・雑損失等の内訳書がきちんと書かれていない
このように、勘定科目内訳書が雑だと銀行から「粉飾しているのでは」と疑惑の目で見られますので、勘定科目内訳書はきちんと記載するようにしましょう。
土地・投資有価証券に大きな含み損を抱えている
銀行は、貸借対照表に計上してある土地や投資有価証券などの資産は取得時の簿価ではなく、時価評価で審査します。
そのため、簿価が高くても時価評価した際に含み損があればマイナス評価を受けます。
マイナス評価を受けても、資産が圧倒的に多ければ何の問題もありませんが、時価評価すると実質債務超過になるという場合は、新規融資は絶望的になります。
実質債務超過の言葉の意味は「銀行融資の指標「実質債務超過」を分かりやすく解説【基礎知識】」をどうぞ。
債務超過に陥っている
債務超過の会社に対する融資は貸し倒れリスクが高いので、新規融資は難しくなります。
ただし、「【銀行融資】債務超過でも新規融資を受けることはできる?【状況次第】」という記事でも解説しているとおり、債務超過でも融資を受けれるケースはあります。
自己資本比率が低い(あるいはマイナス)
自己資本比率が低いあるいはマイナスの会社は、新規融資は難しくなります。
自己資本比率が低いという事は、端的に負債比率が高い(自己資本に対して負債が多い)ということなので、銀行から借入過多と見られ、新規融資は難しくなります。
ただし、例外が1点あり、決算書上の自己資本比率が低くても、実質自己資本比率が高ければ新規融資を受けれる可能性があります。
詳しくは「銀行融資の指標「実質自己資本」を分かりやすく解説【基礎知識】」をどうぞ。
売掛金・棚卸資産が売上規模に比べて多い
売上規模に対して売掛金や棚卸資産が多いと新規融資は難しくなります。
売掛金の場合
会社の売掛金が増える理由は、売上が上がったからという前向きな理由の他に、以下のように後ろ向きな理由もあります。
- 売掛金が回収できなくなった → 取引先が倒産した
- 入金サイトが伸びた → 取引先の倒産可能性が高い
- 粉飾している
そのため、売上規模に比べて売掛金が多いと銀行は警戒します。
棚卸資産の場合
売上規模に比べて棚卸資産が多いと、銀行は警戒します。
なぜなら棚卸資産が多い理由は次のように後ろ向きな理由が殆どだからです。
- 売れると思って仕入れた → 売れなかった(陳腐化)
- 仕入原価が下がるから大量に仕入れた → 売れなかった
- 流動資産の見栄えを良くするためにそのまま計上 → 粉飾
売掛金や棚卸資産が売上規模に比べて多くなった理由が、「季節変動で膨らんだ」、「決算月の直後に大きな売上が立った」等といった説明がつけば良いのですが、そうでなければ後ろ向きな要素しかありませんので、融資は難しくなります
高金利の融資を受けている
「【銀行融資】ノンバンクの借入があると銀行が融資しない理由と借入を見抜くポイントを解説」という記事でも解説しているとおり、ビジネスローンなどの高金利の融資を受けていることが銀行に発覚すると、今後の融資は絶望的になります。
もし、すでに利用しているということであれば、全額返済してしまえば問題ありません。
融通手形を振り出している
銀行に融通手形を振り出していると疑われていたり、振り出していることがばれると新規融資は絶望的になります。
理由は「【資金調達】銀行に手形割引を断られた!【原因や対処法を解説】」という記事でも解説しているとおり、融通手形は資金調達のために商取引の実体が無いのに振り出す手形です。
つまり、架空の取引で手形を振り出しているので、そもそも粉飾であるということはもちろん、もし万が一、振り出した相手が倒産した場合、振り出した手形の支払い義務が生じるため、連鎖倒産の可能性も出てきます。
そんな危ない会社に銀行は融資しませんので、融通手形に手を付けないようにしましょう。
キャッシュフロー計算書を作成していない
上場企業はキャッシュフロー計算書の作成義務がありますが、中小企業は作成義務がありません。
そのため、キャッシュフロー計算書を作成していない会社も少なくないですが、銀行融資の審査において、キャッシュフロー計算書は非常に重要です。
キャッシュフロー計算書が銀行に重要視される理由
キャッシュフロー計算書は、損益計算書や貸借対照表では把握できない資金の流れを確認する事ができます。
- 利益の源泉はどこにあるのか
- 借入金の利息の負担能力はどれぐらいあるのか
- 期中に金融機関からどのくらい資金調達しているのか
また、キャッシュフロー計算書から貸したお金が返済されるかどうかを確認できるため、審査では重要視されます。
返済計画に無理があることが明か
資金繰り予定表を見ても、今後の返済計画が明らかに無理が生じている場合、銀行融資は難しいです。
例えば、以下のようなケース。
- 毎月の返済原資:50万円
- 月々の元本返済額:40万円
- 新規融資が実行されたら増える元本返済額:30万円
毎月の返済原資は50万円なのに、新規融資を受けたら毎月の返済額が70万円になってしまい、月次収支が20万円の資金不足に陥ってしまうケース。
融資を受けた月まとまった資金が入るので、資金的に困る事はありませんが、返済を続けているうちに資金不足に陥る可能性が高いことは明白です。
このような時は新規融資は難しいです。
遊休資産の売却が進んでいない
遊休資産は保有し続けていても利益を生み出す事はありませんので、保有し続けていると銀行からマイナス評価を受けます。
将来的に収益を生み出す見込みがある、あるいは設備投資等で使用する予定があるという事であれば話は変わりますが、そうでなければ保有し続けていてもコストがかかるだけで収益に寄与しません。
また、遊休資産を保有し続けるぐらいなら売却して既存の借入金の返済に充当し、少しでも負債を圧縮し、自己資本比率を改善して欲しいという考えを持ってますので、遊休資産がある場合は売却の検討も必要だといえます。
資金繰りが厳しいのに効果の無い設備投資を行っている
設備投資を行う事によって生産性が向上し、利益が向上するという事であれば、設備投資を行っても何の問題もありません。
生産性が向上し、利益が向上すればその利益で返済に充当できるため、銀行もプラスに評価します。
しかし、設備投資の効果が殆ど無いのに、資金繰りが厳しい中設備投資を行うと、銀行からマイナス評価を受けます。
赤字なのに社用車に高級車を使用している
決算が赤字なのに、社用車が高級車だと銀行からマイナス評価を受けます。
会社の業績が良い時に購入し、支払いが済んでいるという事であれば問題視されませんが、業績が悪化している最中に購入したり、リースを組んだ場合、ただの浪費と判断され、銀行からマイナス評価を受けます。
まとめ
以上、銀行融資を受けられない会社の決算書の特徴を17ケース紹介しました。
基本的に、1つでも該当すると銀行融資は受け難くなりますので、銀行融資を受けやすくするためにも、本記事で紹介している項目に1つも該当しないよう、日々気を付けるようにしましょう。