
業績が悪化して赤字決算になってしまったけど、銀行に融資してもらえるかな?
赤字決算だと銀行融資は難しいみたいだし、やはり、銀行融資は絶望的なのかな…。
赤字決算でも銀行融資が可能どうか知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
赤字決算でも銀行融資を受けることは可能【結論】


基本的な前提として、銀行は赤字の企業に対する融資は消極的になりますので、赤字決算を出すた後は今までのような感覚で融資を受けるのは難しくなりますが、全く不可能という訳ではありません。
結論から言うと、赤字決算を出しても銀行融資を受けることは可能です。
ただ、赤字決算を出す前のような感覚で銀行に融資を依頼すると、断られる可能性が高いです。
赤字決算でも銀行から融資を受けるためには、現状や今後の対策をキチンと説明する必要があります。
赤字決算でも融資を受けやすくするために銀行に説明する内容4つ


赤字決算でも融資を受けやすくするために銀行に説明する内容は下記4つです。
- 赤字決算になった原因
- 赤字は一過性なのか、あるいは今後も続きそうなのか
- 赤字の対策をしていれば、その内容
- どれぐらい資金があれば資金繰りが回るのか
上記のとおりです。
赤字決算になった原因
一言で「赤字」といっても原因は下記のとおり様々です。
- 売上が減少した
- 粗利益率が減少した
- 販管費が増大した
- 販売費が増大した
- 管理費が増大した
- 営業外費用が発生した
- 特別損失(資産売却損・災害による損失)が発生した
上記のいずれかの原因により、赤字に至ってしまったのだと思いますが、赤字の原因をきちんと特定し、銀行に対して具体的に説明することが必要です。
例えば、販管費が増えて赤字になったということであれば、下記のように、赤字となった原因の特定と、今後の見通しを説明する必要があります。
- なぜ販管費が増えたのか? → 営業を強化するため前期は人を多く採用した → 前期は採用コストが増えたが、当期は受注見込が増えており、受注件数も増加傾向にある
赤字の原因を説明する際の悪例
赤字の原因を説明する際、銀行に敬遠されてしまうのが、外部環境の悪化の説明に終始してしまうことです。
よくあるケースが以下のような説明です。
- 景気が悪いので売上が下がってしまった
- 業界全体の売上が落ち込んでいる
このような説明に終始してしまうと、赤字の改善ができない企業というレッテルを貼られてしまいます。
- 赤字の改善ができない = 融資したところで赤字補填に使われるだけ
銀行にこのようなレッテルを貼られてしまったら、今後の融資は絶望的になりますので、赤字の原因を外部要因のせいにするのはやめましょう。
赤字は一過性なのか、あるいは今後も続きそうなのか
決算が赤字になってしまった場合、銀行が気にするのは「赤字はいつまで続くのか?」ということです。
- 赤字は一過性なのか(前期のみなのか)
- 今後も赤字は続くのかし(当期、あるいは翌期も赤字の見通しなのか)
例えば、「赤字決算になった原因」という項目でも解説したとおり、「採用コストが増大した事によって一時的に赤字となってしまった。」ということであれば、赤字は一過性のものだと説明がつきます。
また、遊休資産を売却したら売却損が出て赤字となった。というような場合も赤字は一過性のものと言えます。
このような一過性の事が原因で赤字決算になった場合、銀行は赤字決算に対して大目に見てくれます。
赤字が続きそうな場合は厳しく見られる
今後も赤字が続きそうな場合は、銀行はかなり厳しく見ます。
例えば、売上の3割を占めていた大口の取引先を失った事が原因で赤字決算になってしまった場合、大口の取引先に代替するような売上を確保できない限り、赤字は続く可能性が高いです。
このような場合、経営改善で収支トントンぐらいまでもって行けければ、今後の銀行融資は期待できません。
赤字の対策をしていれば、その内容
赤字の原因を把握し、すでに対策していれば、その対策内容を説明するようにしましょう。
赤字の原因を把握しているのに何の対策もしない企業に対して、銀行が融資することはありません。
赤字を解消するために取り組んでいることを説明しましょう。
説明は口頭でするのではなく書類がベター
担当者に赤字を解消するために取り組んでいる内容を伝える際、口頭ではなく書類で伝えるようにしましょう。
経営改善計画書を作成して、具体的にどのような改善策をどのような手順で実行し、どれぐらい改善されるのか、数字に落とし込み、提出するようにしましょう。
どれぐらい資金があれば資金繰りが回るのか
赤字決算で銀行に融資を依頼する際、以下のような依頼をすると心証が悪くなります。
- 現状で借りれる範囲内で目一杯貸して欲しい
- 資金繰りが厳しいから借りれるだけ借りたい
可能な限り目一杯借りたいという気持ちは理解できますが、必ず、具体的な金額を提示するようにしましょう。
資金繰り予定表を作成し、今後の資金繰りを説明しましょう
銀行へ融資の相談をする際に資金繰り予定表を提出し、今後の資金繰り予定を具体的な数字をもとに説明するようにしましょう。
例えば、「このままだと〇月には資金ショートする可能性が高いため、〇百万円の融資をお願いしたい。
経営改善を行いキャッシュフローが改善されるので、毎月〇十万円の返済原資を確保できる。仮に、〇百万円の融資が実行された、毎月の返済額が増えたとしても、今後の返済原資は十分確保できる。」といった感じで、
資金繰り表があれば具体的な数字を根拠に説明することができますので、銀行に融資の検討・審査をしてもらいやすくなります。
赤字でも銀行から融資を受けやすくするために、必ず作成するようにしましょう。


融資の依頼をする時は最初にメインバンクに相談しましょう


融資の依頼をする時は、真っ先にメインバンクに相談するようにしましょう。
メインバンクを飛ばしてサブ行に相談しても「メインの〇銀行さんに相談されたのですか?」とか、「最初にメインの〇銀行さんに相談されては…。」と言われる場合が殆どなので、まずはメインバンクに相談するようにしましょう。
メインバンクに断られてサブ行に相談する際、必ずと言っていいい程「メインさんは何と言ってましたか?」と確認されますが、メインバンクに言われたことは正直に伝えるようにしましょう。
ここで「メインの〇銀行さんは前向きに審査してくれている」などと嘘ついても後でバレますし、嘘ついていたという事がバレると心証が非常に悪くなりますので、正直に伝えるようにしましょう。
もし、どの銀行がメインバンクなのか分からない場合、「【リスケジュール】メインバンクはどう判断するの?判断基準や融資残高が同じ場合も合わせて解説」という記事でメインバンクの判断基準について解説していますので、ぜひ参考にして下さい。
赤字決算で銀行が融資を敬遠する理由1つ


赤字決算だと銀行が融資を敬遠する理由を解説します。理由は下記1つです。
- 銀行は赤字補填の融資はしないから
上記のとおりです。
銀行は赤字補填の融資はしないから
当たり前のことですが、投資と異なり、融資は返済しなければならない性質のものです。
事業が赤字ということは、つまり返済原資が無いということを意味します。
返済原資が無いということは、「融資を実行したところで、早晩、回収不能に陥る可能性が高い」と銀行は考えますので、赤字企業に対して銀行は融資しないのです。
【例外】担保や保証があれば赤字補填は可能
唯一例外があるとすると、担保がある場合とセーフティーネット保証等の保証付融資です。
銀行からするとリスクが低い融資なので、こういったケースであれば、赤字補填の融資は実行して貰えます。
【おまけ】赤字決算で銀行に融資を断られた時に検討すべきこと2つ


最後に、赤字決算で銀行に融資を断られた時に検討すべきことを2つ紹介します。
- リスケジュール(返済条件変更)する
- ノンバンクで調達する
上記のとおりです。
リスケジュール(返済条件変更)する
この記事で解説している4つの説明を銀行に対して行っても融資を断られた場合、このまま約定返済を続けていると資金が流出するだけとなりますので、これ以上の資金流出を食い止めるためにリスケジュール(返済条件変更)した方が良いです。
リスケジュールの詳しい解説は「【銀行融資】リスケジュールで返済額を見直して資金繰り改善【基礎知識】」をどうぞ。
ちなみに、リスケジュールを勧めると「リスケジュールすると銀行から借りれくなる」と心配をされる方がいますが、「【銀行融資】リスケジュールして融資を受けれなくなったら困る!【借りれない心配は無駄】」という記事でも解説しているとおり、すでに断られている状況で借りれない心配をするのはナンセンスです。
ノンバンクで調達する
前述のリスケジュールで資金流出を食い止め、資金繰りが回るようになれば良いですが、それでも資金が足りない場合、ノンバンクでの調達を検討することになります。
ノンバンクは金利が高いというデメリットがありますが、審査も早く、リスケジュール中でも資金調達可能なので、イザという時の心強い味方だといえます。
ちなみに、以下の記事でリスケジュール中でも資金調達が可能なノンバンクについて解説していますので、ぜひ参考にして下さい。


まとめ
以上、赤字決算でも融資を受けることはできるのか?ということについて解説しました。
赤字決算を出すと銀行は融資を敬遠するようになりますが、状況をきちんと説明する事で、融資を受けれる可能性があります。
赤字の原因を特定し、どのような対策を行っているのか、経営改善計画書にまとめて融資の相談をするようにしましょう。