
銀行融資をリスケジュール(返済条件変更)してもらっている最中に、銀行や政府系金融機関から追加融資を受ける方法はある?
ネットで調べるとリスケジュール中は銀行融資が難しいから、ノンバンクやファクタリングで調達しようといった情報が山のように出てくるけど、利益率が悪化するから極力避けたい。
リスケジュール中でも銀行や政府系金融機関から融資を受ける方法があれば知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
リスケ中でも銀行や政府系金融機関から追加融資を受ける方法はあります


銀行借入をリスケジュール(返済条件変更)してしまうと、リスケジュール中は銀行や政府系金融機関から追加融資を受けることは難しくなりますが、
全く融資を受ける事ができないということではなく、状況次第では融資を受ける方法がいくつかあります。
ただし、リスケジュール中に追加融資を受けるにあたって、前提条件が一つあります。
追加融資を受ける前提条件:リスケした時よりも業績が悪化してないこと
リスケジュールを依頼した時よりも業績が悪化している状況で、銀行や政府系金融機関に追加融資の相談をしても、担保でもない限り追加融資は検討の余地もありません。
リスケジュール中に低金利で追加融資を受けたいと考えたら、まずはこのことを覚えておきましょう。
- 業績が悪化している → 追加融資は絶望的
- 売上が横ばい → 可能性あり
- 業績回復 → 可能性が高い
リスケジュールを依頼した時と比較して、業績が横ばい、あるいは回復傾向にあるならリスケジュール中に追加融資を受けることができる可能性はあります。
でも、業績が悪化していれば追加融資は非常に難しくなるため、経営改善が進むまでは耐え忍ぶか、あるいは高金利での調達を検討するほかありません。
ちなみに、高金利でも良いから資金調達したいという方は、「【資金調達】急ぎで事業資金を調達する方法とは?【4つ紹介します】」でノンバンクでの調達方法を紹介していますので、ぜひどうぞ。
リスル中に銀行や政府系金融機関から追加融資を受ける方法は5つ【おまけ付き】


リスケジュールを依頼した時と比較して業績が悪化していなければ、リスケジュール中でも銀行や政府系金融機関から資金調達できる方法が下記5つあります。
- 【短期】短期継続融資(短コロ)
- 【短期・長期】ABL(流動資産担保融資)
- 【長期】条件変更改善型借換保証
- 【短期・長期】経営改善サポート保証
- 【長期】企業再建資金
上記のとおりです。
【短期】短期継続融資(短コロ)
「銀行融資を受けられない!短期継続融資なら可能性があるかも」という記事でも解説しているとおり、受注に至りそう、あるいは仕事を受注したものの、入金されるまでの間の資金繰りが回らないような場合、
取引を見合いに銀行からつなぎ融資を受けることができる可能性があります。
ただし、名称のとおり、融資を受けれる期間が短く、あくまで入金されるまでの間のつなぎ融資なので、一年以上の長期で借りれる方法をお探しの方にはマッチしません。
【短期・長期】ABL(流動資産担保融資)
「ABL(流動資産担保融資)」は会社が保有している流動資産を担保に融資を受ける方法です。
担保となる流動資産は売掛金と動産(在庫・車両・設備類)の2種類あります。
- 売掛金担保融資
- 動産(在庫)担保融資
上記のとおりです。
売掛金担保融資
「売掛金担保融資」は、商取引で発生した売掛金を担保に融資を受ける方法です。
基本的に継続取引がある事が前提となりますが(単発の取引だとNG)、売掛金があれば1年以内の短期融資を調達することができます。
信用保証協会の保証なので、ノンバンクと比較して低金利で融資を受ける事ができます。
また、保証枠も一般保証と別枠なので、一般保証枠を使い切っている事業者でも利用可能です。
参考リンク:中小企業庁:売掛債権担保保証制度
売掛金担保融資の詳細は以下の記事をどうぞ。


動産(在庫)担保融資
「動産(在庫)担保融資」は、企業が保有している在庫や動産(車両・設備など)を担保に融資を受ける方法です。
動産という時価評価が難しい物を担保にするため、売掛金担保融資と比較すると担保の掛け目は低いです。
返済期間については、信用保証協会のABL保証だと返済期間は1年以内ですが、きらぼし銀行が提供している動産担保融資は返済期間が5年(最長7年)となっています。
参考リンク:東京都制度融資「東京都動産・債権担保融資(ABL)制度」 |資金調達|きらぼし銀行
動産(在庫)担保融資の詳細は以下の記事をどうぞ。


【長期】条件変更改善型借換保証
「条件変更改善型借換保証」は、既借入金を一本化することで月々の約定返済額を抑え、新規融資(真水)を実行しても月々の返済額が大きくならないように配慮された保証制度となります。
長期資金を調達できるというメリットがありますが、保証を受けるにあたり、認定支援機関から指導を受けながら作成した事業計画の策定が必要となります。
条件変更改善型借換保証の詳細は以下の記事をどうぞ。


【短期・長期】経営改善サポート保証
「経営改善サポート保証」は、リスケジュールから卒業するためのツールとして創設された保証制度です。
保証を受けるにあたり、以下いずれかの機関の支援を受けて作成した経営改善・再生計画が必要となるので、保証を受けるハードルがけっこう高いです。
- 中小企業活性化協議会(旧中小企業再生支援協議会)
- 経営サポート会議(金融機関等の関係者により個々の事業者を支援する信用保証協会等を事務局とした支援の枠組み)
とはいえ、一般保証と別枠で最大2億8千万円の保証を受ける事ができる可能性があるので、業績が回復傾向にある企業にとって、チャレンジしてみる価値はあると言えます。
経営改善サポートの詳細は以下の記事をどうぞ。


【長期】企業再建資金
「企業再建資金(企業再生貸付)」は、日本政策金融公庫が扱っており、銀行との協調融資も想定している融資制度となります。
運転資金の限度額は4,800万円で、返済期間は15年~20年(うち据え置き期間2年以内)と長く、非常に魅力的な融資制度です。
参考リンク:企業再建資金|日本政策金融公庫
リスケジュール中の企業が利用するため、ハードルは高いです。
とはいえ、返済期間が長く、低金利で融資を受ける事ができるため、業績が回復傾向にあるならこちらもチャレンジする価値はあると言えます。
ちなみに、企業再建資金を利用するにあたり、企業再建計画書の作成が必要となりますので、興味のある方は作成例を確認しておくと良いかと思います。
参考リンク:企業再建資金の作成例 | 日本政策金融公庫(PDFファイル:113KB)
【長期】事業再生円滑化債務保証制度【おまけ】
2019年に創設された保証制度で、中小機構が保証します。
債務保証制度の特徴
- 事業者にとって、金融機関からの借入れを行う可能性が広がります。
- 最大50億円の資金調達に対応できます。(保証割合は50%又は30%)
- 信用保証協会等の保証を受けることが困難なもの(信用保証制度の対象外である場合や、同制度の保証枠を使い切っている場合など)が対象となります。
出典:債務保証|中小機構
中小機構の債務保証制度は11あり、そのうちリスケジュール中の資金調達に対応しているのは「事業再生円滑化債務保証制度」にあたります。
債務保証を受けるには、特定の法律(注1)に基づく計画を策定し、主務省庁又は都道府県の認定を受ける必要があるため、ハードルはかなり高いです。
とはいえ、信用保証協会の保証枠を使い切っている事業者でも保証を受けれる可能性が出てくるため、業績が回復傾向にある企業は銀行に相談してみるのも一つの方法だと言えます
まとめ
以上、リスケジュール中に銀行や政府系金融機関から追加融資を受ける方法はあるのか、という事について解説しました。
リスケジュールすると銀行や政府系金融機関からの融資が難しくなりますが、業績次第では資金調達できる方法は5つあります。
なので、できれば高金利のノンバンクではなく、低利の銀行や政府系金融機関から融資を受けたいという方は、今回ご紹介した方法を検討してみて下さい。
おわり。