
リスケジュールしようと考えているけど、手形は今まで通りメインバンクが割ってくれるかな?
万が一手形が割れなくなると困るから、リスケジュールしないで約定通り返済しているけど、このままだと資金繰りがもたないよ。
メインバンクに断られたら、サブバンクが割ってくれるかな?ノンバンクの利用も検討しているけど、断られる事とかあるのかな…。詳しく教えて欲しいよ。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
リスケジュール後の手形割引はケースバイケース【結論】


手形割引を利用している方がリスケジュールを検討する際、「リスケジュールをきっかけに手形を割り引きを断られたりもしないか?」という心配事が出てくると思いますが、
結論から言うと、引き続き割ってくれる銀行もあれば、リスケジュールをきっかけに断ってくる銀行もあるということになります。
ちなみに、リスケジュールの詳細は「【銀行融資】リスケジュールで返済額を見直して資金繰り改善【基礎知識】」をどうぞ。
手形の銘柄が良ければ引き続き割引いてもらえる可能性が高い
以下のような手形であれば、リスケジュールしても引き続き手形を割り引いてもらいやすいケースが多いです。
- 手形振出人の与信が高い(大手企業、中堅企業など)
- 手形振出人と受取人の取引銀行が同じ(振出人の与信管理をリアルタイムで管理できるので)
しかし、上記に当てはまらない場合、銀行はリスケジュールをきっかけに「リスケジュールしているのだから今後の手形割引は難しいです。」と断ってくるケースが少なくありません。
ちなみに、「銀行に手形割引を断られた!原因と解決策を解説」という記事でも解説しているとおり、個別銘柄の割引額が無くなってたりすると、割引を断られる事がありますので、ご注意ください。
他行に依頼すると割ってくれる事がある
普段、手形割引を行っている銀行がリスケジュールをきっかけに割引を断ってきたとしても、他行に割引を依頼すると意外とあっさり割引いて貰える事があります。
殆どの企業はメインバンクで手形を割ってもらっていると思いますが、メインに割引を断られたら、サブバンクに相談しましょう。
リスケジュールしても手形割引を行ってくれる理由1つ


通常、リスケジュールをすると銀行融資は厳しくなりますが、銀行はなぜ、手形を割り引いてくれるのでしょうか。
銀行が手形を割ってくれる理由は1つです。
- 手形割引は手形振出人の与信を重視しているから
上記のとおりです。
手形割引は手形振出人の与信を重視しているから
銀行融資は企業の財務情報を基に、融資を実行するかしないかを検討しますが、手形の場合、振出人の与信情報を基に割引くか割り引かないかを検討します。
- 銀行融資 → 融資先企業の財務内容を審査
- 手形割引 → 振出人の与信スコア(財務内容を含むトータルの情報)を審査
つまり、手形割引を依頼してきている企業の与信は銀行融資ほど重要視されませんので、リスケジュールしても割ってくれるケースがあるのです。
リスケジュール後に手形割引をスムーズに行うための対策2つ


今まで手形割引をしてくれていた銀行が、リスケジュールをきっかけに割引を断ってくる可能性があります。
急に割引先を失って資金繰りが急激に悪化しないよう、リスケジュールする前に下記2つの対策を検討するようにしましょう。
- 割引だけを行う銀行と取引しておく
- 手形割引専門のノンバンクに割ってもらう
上記のとおりです
割引だけを行う銀行と取引しておく
手形割引を利用している殆どの企業は、手形割引を依頼する銀行を一行に絞って割引いて貰ってます。
割引できる銀行を一行に絞ると、リスケジュールをきっかけに割引を断られた場合、代替手段が無くなりますので、予め、割引だけを行う銀行と取引しておくと良いです。
いきなり大きな金額の手形を持ち込むと警戒されますので、最初は額面が数十万円ぐらいの手形を割ってもらって、取引実績を作っておくようにしましょう。
手形取引専門のノンバンクに割ってもらう
少額でも良いので、手形割引専門のノンバンクに割ってもらい、取引実績を作っておきましょう。
審査が早いノンバンクでも、初回の取引はどうしても警戒されます。
切羽詰まった状態で「手形をすぐに割って欲しい」等と依頼しても、思うような回答を得られない事も十分考えられます。
ノンバンクに手形割引を依頼した時の実例
例えば、筆者が関与したケースで、大手企業の子会社が発行した額面800万円の手形割引を依頼した際、以下のような回答でした。
- 振出人の与信は十分ある
- とはいえ、支払い期日が差し迫っている
- 初回取引という事もあり、半額なら割れます(振出人に依頼して400万円×2枚にしてもらい、そのうちの400万円なら割れるという回答)
- 手形の銘柄は申し分ないが、初回取引の金額が大き過ぎる(万が一のことを考えるとリスクが大きい)
ちなみに、こういったケースはよくありますので、差し迫った状況で割引を申し込むのではなく、少額でも良いので、取引実績を作っておきましょう。
まとめ
以上、リスケジュールしても、銀行は手形を割り引いてくれるのか?という事について解説しました。
リスケジュール後の手形割引はケースバイケースです。
今まで通り割ってくれる事もあれば、リスケジュールをきっかけに断ってくるケースもあります。
ただ、他行に依頼すると割ってくれる事もありますし、ノンバンクであればリスケジュール中でも割って貰えます。
いずれにしても、急に手形割引を持ち込んでも警戒されるのは間違いありませんので、少額でも良いので取引実績を作っておいて、手形の割引先に困ることが無いよう、割引先を確保しておきましょう。