資金調達
カード選び
リスケすると新規融資が難しくなるから頑張って返済を続けているのに、返済を続けない方がいいのはなぜですか?
具体的な理由を教えてください。
本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。
なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験を元に、本記事では、リスケしないで返済を続けてはいけない理由をまとめました。
「リスケすると新規融資を受けられなくなるから困る!」といって、約定返済を続けている方や、リスケを決断できない方がいます。
銀行に新規融資を依頼して、今までどおり担当者が話を進めてくれるのであれば約定返済を続けるべきだと思いますが、そうでなければリスケせず返済を続けてはいけません。
リスケせず返済を続けてはいけない理由は下記4つです。
上記のとおり。
銀行に新規融資の相談をして、話を進めてもらえるなら約定返済を続けた方がいいですが、断られているのであればリスケすべきです。
返済を続けても手元資金が減るだけです。
新規融資が謝絶されているのに返済を続けていれば手元資金は枯渇し、身動きが取れなくなります。
銀行から具体的な提案を受けていたり、新規融資の話が進んでいるのであれば返済を続ける意味はあります。
しかし、「返済を続けていれば、また融資してもらえるようになる」というように、根拠のない希望的観測で約定返済を続けると、資金ショートする確率が上がります。
約定返済を続けても、今後、新規融資を受けられる保証はどこにもありません。
それに、新規融資の可能性があるなら、今の時点で担当者から具体的な回答を得られていてもおかしくありません。
担当者から何の回答も得られていないのであれば、これ以上返済を続けても新規融資は期待できません。
後で後悔しても流出した資金は戻ってきません。希望的観測を持つのは止めましょう。
筆者はこれまで、「借りれなくなるからリスケできない・したくない」という経営者の方とお会いしてきましたが、資金ショート目前になった時にようやく
などといって後悔していました。
「ギリギリまで返済を続けてよかった」とおっしゃった方は1人として会ったことがありません。
リスケすると今後全く融資を受けられなくなる訳ではありません。
業績が落ち込んでないことが条件ですが、短期融資であればリスケ中でも対応してくれる銀行はあります。
詳しくは別記事の「銀行融資を受けられない!短期継続融資なら可能性があるかも」をどうぞ。
また、リスケ中の融資をサポートする保証制度・制度融資も用意されています。
経営改善計画を策定する必要があるので条件はかなり厳しいですが、業績が回復傾向にあれば可能性は十分あります(ABLは経営改善計画の策定不要です)。
リスケ中は銀行/公的機関からの融資は難しくなりますが、ノンバンクであればリスケ中でも資金調達可能です。
ノンバンクとは、預金業務を扱わずに貸出業務のみを行う金融機関のことをいいます。
銀行/公的機関からの融資と比べて資金調達コストは高いですが、ノンバンクで資金調達して資金繰りをやりくりしている企業は数多くあります。
ちなみに、具体的な資金調達方法は下記5つあります。
詳しくは別記事の「銀行融資のリスケ中でも可能な資金調達方法5選」をどうぞ。
銀行融資をリスケすると、どこからも融資を受けられなくなる訳ではないので、「リスケ=融資は絶望的」と思い込むのは避けるべきです。
以上がリスケせず返済を続けてはいけない理由となります。続いて、筆者がコンサルの現場で見てきた、リスケせず返済を続ける人のよくある悪例を紹介していきます。
リスケせず返済を続ける人のよくある悪例は下記5つです。
上記のとおり。
最も良く見かけるのが「経営者の個人資産を全て銀行返済に回す」です。
経営者個人の預金・役員報酬を会社に貸付け、そのお金を銀行融資の返済に回す方法です。
経営者であれば会社のために個人資産を投入することは当たり前のことなのかもしれませんが、会社にお金を貸し付けるのは簡単でも、会社から返済してもらうのは難しいので極力避けるべきです。
経営が順調な時に経営者が会社に貸付けたお金を返済してもらっても問題ありませんが、業績が悪化し、新規融資が難しくなると状況は変わります。
銀行/公的機関の立場からすると「債権者平等なのに、経営者に優先的に返済するのはいかがなものか?ましてや、経営状況が悪化している状況で経営者に優先的に返済するのは、債権者平等の原則に反するのでは」といった指摘を受け、関係が悪化する恐れもあります。
会社から返済してもらうことを考えていないのであれば、経営者の個人資産を返済にまわしても構いませんが、そうでなければ会社から返してもらうのは難しくなるので止めた方がいいです。
下記の方法であれば、会社に貸付けたお金を返済してもらっても銀行/公的機関からの反発は少ないです。
まとまった金額(数百万円~1千万円単位)いっぺんに会社から返済してもらうと、決算書や試算表を見た銀国/公的機関から「これはいったいどういうことなのか!」、「債権者平等の原則に反するのでは?」と反発を受けますが、生活を維持する程度のお金を少しずつ返済してもらう分にはノーチェックの場合がほとんどです。
銀行への返済を最優先にして、取引先の買掛金を待ってもらっている事業者を未だに見かけますが、これは倒産確率を確実に引き上げるので止めた方がいいです。
など、正直、悪手としか言いようがないので避けるべきです。
取引先への支払いが難しくなりそうなことが事前に分かっているのであれば、銀行への返済を止めた方がいいです。
ちなみにもし、クレジットカードや法人カードをお持ちであれば、「請求書カード払い」というサービスを利用すれば取引先への支払いをカードで払えるようになるので、こうしたサービスの利用も検討すべきです。
カード払いを利用することで支払いを最大60日延ばせます。
利用にあたり3%~4%の手数料がかかりますが、支払いを遅らせて条件が悪化するよりはマシだと思います。
詳しくは別記事の「請求書カード払いおすすめ6選」をどうぞ。
従業員の給料が遅れると、仕事へのモチベーションが劇的に低下するばかりか、「この会社はヤバい!今のウチに辞めた方が良い」などと思われ、就職活動されます。
そうなると将来的に従業員がいなくなり、仕事が回らなくなる危険性があります。
銀行への返済は約定返済日の何日か前に「今月、資金繰りが厳しいので返済を待って欲しい」と電話一本入れればOKですが、従業員は別です。
電話一本で引き止められるほど甘くありません。
個人のキャッシングやノンバンクから融資を受けたお金で銀行/公的機関の融資を返済するのは避けるべきです。
「高利の金を返済するために低利の金を借りる」ということなら推奨されますが、そうでなければ負債は雪だるまにように膨らみ、資金繰りが苦しくなる一方なので止めた方がいいです。
それに、ノンバンクからの借入が銀行/公的機関に発覚すると、ノンバンクからの借入を全額返済しない限り、新規融資は絶望的となります。
詳しくは別記事の「ノンバンクの借入があると銀行が融資しない理由と借入を見抜くポイントを解説」をどうぞ。
いずれにしても、資金繰りが厳しくなるだけなので止めた方がいいです。
ノンバンクを利用するなら、銀行融資をリスケした後にすべきです。
返す当てがあるなら借りても良いと思いますが、当ても無いのに借りてしまうと人間関係が壊れるので止めた方がいいです。
ちなみに、筆者がよく見聞きするケースは下記のとおりです。
完済できるまで総スカン状態に陥ります。返す当ても無く借りるのは止めましょう。
以上、リスケせず返済を続けてはいけない理由を解説しました。
銀行に新規融資の相談をして、話を進めてもらえるなら約定返済を続けた方がいいですが、断られているのであればリスケすべきです。
「リスケすると新規融資を受けられなくなるから困る!」といって返済を続けても、新規融資を受けれる訳ではないので、新規融資を相談して断られられたらすぐにリスケを決断しましょう。