
コンサルタントに依頼した方が楽なんだろうけど、費用的な面も含めて外部の専門家に依頼せず、自社で解決しようと考えているよ。
資金繰りが厳しい中、コンサルタントに依頼すると毎月の支払い負担が増えるから、独学で解決しようと思っているよ。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
事業再生コンサルに依頼せずに自社で解決するには、まずはゴール設定から


コンサルタントに依頼しなくても独学で事業再生を学び、単独で問題解決するための具体的なステップをお伝えする前に、まずはゴール設定からお伝えします。
本記事で目指しているゴールは以下のとおりです。
- 専門のコンサルタントに依頼しなくても単独で解決できるようになる
ゴールの無い独学はゴールのないマラソンと同じで、最初は走る事ができても途中で息切れしてしまい、諦めてリタイアするだけですので、ゴールを目指して着実に前に進みましょう。
それではさっそく、具体的な手順に進みましょう。
1. 決算書から問題点を整理する


一番最初のステップは、自社の財務内容を詳しく把握し、問題点を整理する事です。
問題点を整理せずに本を読んだりネットで調べても意味がありませんので、最初は問題点を整理するところから始めましょう。
まずは3期分の決算書を用意し、数字の流れを掴みましょう。
- 損益計算書
- 貸借対照表
- 経営者個人の資産・負債状況の把握
具体的な確認項目については「詳細な現状把握につとめましょう」をどうぞ。
資産の部は時価評価に洗い替えして精査する
資産の部の以下の項目については、基本的に取得時の簿価で記載されているケースが殆どです。
- 流動資産 → 棚卸資産
- 有形固定資産 → 土地、建物(付属設備含む)、機械(設備関係)、車両など
- 無形固定資産 → 投資有価証券、出資金、保証金、敷金、保険積立金、会員権など
土地以外の有形固定資産の場合、殆どが償却資産となりますので、償却済みの価額を記載しているケースが一般的です。
つまり、決算書に記載してある価額は時価(相場価格)ではありませんので、できる限り時価評価に洗い替えして精査するようにしましょう。
特に、ゴルフ会員権などは取得時の簿価300万円と計上されていても、実際に売却するとなると値段が付かなかったりするケースもありますので、あくまで売却する事を想定した時価評価で精査するようにしましょう。
土地・建物の時価評価は、以下の記事で紹介している一括査定サービスを活用すると簡単かつスピーディーに市場価格を把握することができます。
複数の不動産業者から無料で査定価格を取得できますので、こういったサービスを活用する事も検討しましょう。


2. 基礎知識を本で学ぶ【超重要】


財務状況を精査したら、本を読んで基礎知識を学びましょう。
ネットで調べた方が早いのでは?と思うかもしれませんが、もちろん、場合によってはネットで調べた方が早かったりするケースもあります。
とはいえ、基礎知識の無い方がネットの情報を上手く活用できるかというと、筆者の個人的な考えとしては難しいと思っており、その理由は4つあります。
- 基礎知識が無いと情報の選別ができない(ネットの情報は新・旧入り乱れており、正しくない情報も掲載されているため)
- 専門的な知識はネットでの調べ方が分からない場合がある(専門用語があるため)
- 知識が断片的になりがち(要所要所で大切な知識が抜け落ちてしまうケースがある)
- 最初に本を読んで体系的に学び、その後(あるいは同時並行)にネットで調べた方が精度が上がる
こうした理由から、最初に本を読んで体系的に学ぶことをおすすめします。
ちなみに、 以下の記事で事業再生が学べる本を紹介していますので、是非どうぞ。
3. ネットで情報収取する


本を読んで基礎知識を体系的に学んだら、ネットで情報収集します。
基礎知識がないとネットで情報を調べても、細かい部分が分からなかったりするケースが少なく無いと思いますが、予め本で基礎知識を学んでいれば、多少内容が難しかったりしても、ある程度は理解できるようになっていると思います。
また、基礎知識を学んでいれば情報の選別もできるようになっていると思いますので、分からない事があれば、ネットで情報収集しましょう。
ネットには本にはない事例があったり、最新情報が掲載されていますので、使えそうな情報だけをピックアップして情報収集するようにしましょう。
4. 商工会や中小企業活性化協議会に相談して第三者の意見を聞く


現状を把握し、本で基礎知識を学びつつ、ネットで情報収集するようになると、ある程度、今後の方向性の大枠が頭に浮かんでくるようになると思います。
この段階になったらすぐに行動に移しても良いとは思いますが、答え合わせ的な意味合いで第三者の意見を聞かれることをおすすめします。
民間のコンサルタントに相談すると費用がかかりますが、商工会(再生支援の窓口)や中小企業活性化協議会(旧中小企業再生支援協議会)などであれば無料相談窓口が用意されています。
専門家も多数在籍していて、いろいろな事案に関与しているという事もあり、専門家による集合知を無料で活用できるのはメリットがあると思います。
ですので、今後の大枠が浮かんできたら、細かい部分や「この部分は実務上、どのような対応になるのか?」等、不安に思っている事があれば、専門家に相談するようにしましょう。
5. 方向性が明確になったら行動する


現状把握で問題点を把握し、基礎知識が学んでネットで情報収集し、専門家の意見を聞くと、今後の進むべき方向性が明確になっていると思います。
方向性が明確になったらあとは行動を起こすだけです。
方向性が明確になっても、実際に行動を起こさないと現状は変わりません。
実際のところ、何年も前から毎年のように相談に来られて、毎年のように同じような相談をされるお客様がいます。
相談の帰り際に「後は社長の決断ですが、実際に行動を起こさないとこれから先、延々と金利を払い続けるだけで利益を全部喰われて終わりですよ。」と言っても、「動かないといけないのは分かっているんだけど、とりあえず役員報酬も手に乗っているし、なかなか決断できなくて…」と言います。
行動しないと状況は変わりませんので、必要な知識と方向性が明確になったら、解決に向けて行動を起こしましょう。
まとめ
以上、事業再生コンサルタントに依頼せずに自社で解決する方法について解決しました。
基本的には5ステップでOKなのですが、基礎知識を学習するのに恐らく1年以上はかかると思います。
専門書を読むのが苦痛ではないという方は独学で今後の方向性を考え、解決に向けて行動するようにしましょう。

