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今期も業績が良くないから、2期連続で赤字決算になるのは間違いないのだけど、赤字が続くと銀行から決算書の科目をチェックされたりするのかな?
今まで、銀行から販管費の内訳まで細かくチェックされるような事は無かったけど、赤字が続くとチェックされたりするようになるのかな?
銀行に決算内容の事情説明や今後の改善指針について説明できるよう、チェックされやすい科目があれば知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
赤字が1期だけであれば、銀行に決算書の科目を細かくチェックされるようなことはほとんどありませんが、2期連続で赤字が続くと状況は異なります。
決算書を提出した際に、販売費及び一般管理費(販管費)の内訳を細かくチェックされるようになります。
ちなみに、チェックされやすい科目というのは大抵決まっていて、その科目を見ながら銀行員は次のことを考えています。
前期と比較して販管費が縮小していれば経費削減に取り組んでいるという説明もつきますが、前期も赤字で販管費も縮小していなかったり、販管費が増えていれば、銀行は「赤字になった原因の対策ができていない」と考えます。
銀行にこのように思われてしまえば今後の付き合いに悪影響が出ますので、銀行にチェックされやすい決算書の科目を把握しておきましょう。
赤字決算が連続すると、銀行にチェックされる決算書の科目は6つあります。
上記のとおりです。
黒字決算であれば役員報酬をいくらに設定していても銀行にチェックされることはありませんが、赤字決算、しかも2期連続で赤字決算を出してしまうと状況は異なります。
赤字決算を出しているにもかかわらず、高額な役員報酬を取り続けていると「赤字を出しているのに経営責任を取らない経営者」という見方をします。
具体的には次のようなケース。
融資を実行している銀行の立場からすると、「役員報酬を削減していれば黒字化したのでは?」と考えます。
ちなみに、このような状況で1,000万円の新規融資を依頼すると、銀行は「1,000万円の融資を実行したところで役員報酬に回るだけなのでは?」と考えます。
そもそも、2期連続で赤字を出した時点で新規融資は絶望的となります。
赤字決算が続いたら、赤字を出した責任を取るために役員報酬を下げた方が良いのは間違いありません。
しかし、具体的にどれぐらい下げれば良いのか?については、明確な答えはありませんので、基本的には経営者の生活状況次第となります。
詳しくは別記事の「銀行にリスケ依頼したら役員報酬を下げろと言われた!減額すべき?【明確な答えはない】」をどうぞ。
2期連続で赤字決算を出した際に地代家賃もチェック対象となりますが、チェックされやすいケースが2つあります。
上記のとおりです。
身の丈に合わないオフィスとは、具体的には次のケース。
もちろん、黒字決算であればどんなオフィスを借りようが何の問題もありませんが、赤字決算が続くとなれば銀行の見方も変わります。
銀行から、次のような指摘を受けるようになります。
赤字が続いているというのに、身の丈に合わないオフィスを借り続けていると、「見栄を張る資金があるなら返済に回して欲しい」と考える傾向があります。
経営者個人や親族が所有している土地・建物を会社と契約し、地代家賃に計上している場合、銀行にチェックされます。
というように考えます。
業績が悪化している局面ではリース料が前年と比較して増えているかどうかチェックされます。
前年と同じであれば特にチェックされませんが、リース料が増えていれば、どのようなリース物件を導入したのか内訳をチェックされます。
とはいえ、事業に必要な事務機器のリースや機械設備のリースは基本ノーチェックです。
しかし、経営者個人が使用する目的で高級車のリースを組んだ場合、厳しくチェックされます。
赤字続きで経費削減をしなければならないのに、事業と無関係なリースを組んで余計な経費を増やしてしまう経営者に対し、銀行は「この経営者と付き合いを続けて大丈夫か?」と不安視するようになります。
事業をしていると、取引先との付き合いの関係上、接待をすることもあると思います。
しかし、銀行員は業績が悪化した場合、次のように考える傾向があります。
1か月あたり数万円程度であればそこまでチェックされませんが、何十万円も接待交際費を計上していると、銀行にチェックされます。
広告宣伝費は費用対効果が数字で説明できるものであれば特にチェックされませんが、費用対効果が数字で説明できないものは「売上に結びつくとは限らない」という見方をされます。
例えば、10万円の広告費宣伝費をかけた際に、
というように、具体的数字で説明できるような広告費については特にチェックされません。
しかし、費用対効果が数字で説明できない場合、例えば、
「1か月10万円の広告宣伝費をかけているけど、反応が得られる時もあれば、無い時もある。」というように、費用対効果が不確かなものは「売上に貢献しているとは限らない」という見方をされます。
前期と比較して、減価償却費が増えている場合、どのような資産を購入したのかチェックされます。
事業で使用する設備・備品を新たに購入して減価償却費が増えたという事であれば基本ノーチェックです。
しかし、減価償却費が増えた原因が経営者個人が使用する高級車だった場合、赤字で経費削減に着手しなければならない中、事業と関係ない高級車を購入して減価償却費が増えてしまっている場合、銀行は「この経営者と付き合いを続けて大丈夫か?」と不安視するようになります。
以上、赤字決算が連続した時にチェックされる決算書の科目を6つ紹介しました。
赤字決算が続き、決算書の提出を求められた際に、銀行がどのような視点で決算書をチェックしているのかを押さえておけば、銀行に事情説明をする際に役立ちます。
今後の付き合いに懸念を持たれないよう、もし、問題視されそうな項目があれば、改善するようにしましょう。