資金調達
カード選び
ファクタリングについて知りたいです。
注意点があれば教えてください。
本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。
なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験をもとに、本記事では、ファクタリングに関する情報をまとめました。
ファクタリングに興味はあるけど具体的にどのような資金調達方法なのか、詳しく知りたい方の参考になれば幸いです。
ファクタリング(factoring)とは、商取引の際に発生した売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却して現金化する取引のことです。
売掛金をファクタリング会社に売却することで、取引先からの入金を待たなくても売上が確定している売掛債権の現金を受け取ることができる仕組みです。
ファクタリングによる資金調達の流れは下記のとおりです(2社間ファクタリングの場合)。
商取引で発生した売掛金は30日~60日近く待たなければ入金されません(末締めの翌月末払いなど)が、ファクタリングを利用すると売掛金を即時現金化できます。
ファクタリングの取引形態は下表のとおり2種類あり、それぞれ手数料が異なります。
取引形態 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
---|---|---|
契約当事者 | 利用者・ファクタリング会社 | 利用者・ファクタリング会社・取引先 |
手数料相場 | 6%~18% | 1%~9% |
承諾の有無 | 不要 | 必要 |
備考 | 取引先に知られたくない場合に適用 | 取引先に知られても構わない場合に適用 |
取引先の承諾を得るか得ないかで手数料が大きく変わります。
ファクタリングと融資の違いは下表のとおりです。
資金調達方法 | ファクタリング | 融資 |
---|---|---|
性質 | 債権の売買 | 金銭貸借 |
利息・手数料 | [2者間]手数料6%~18%程度 [3者間]手数料1%~9%程度 | [10万円未満]年利20%まで [10万円~100万円未満]年利18%まで [100万円以上]年利15%まで |
支払い方法 | 期日一括払い | 一括返済 分割返済 リボ払い |
審査の重要項目 | 売掛先の信用力 | 利用者の返済能力、信用力 |
信用情報機関への登録 | なし | あり |
担保・保証人の有無 | 不要 | 必要な場合あり |
以上がファクタリングの仕組みとなります。続いて、特徴を解説していきます。
ファクタリングの特徴は下記3つです。
上記のとおり。
融資ではないので、審査は早いです。殆どのファクタリング会社は、申込みから3営業日以内には審査結果が出ます
また、最近では最短24時間以内に申込から審査の可否、振込実行までを行うファクタリング会社もあります。
ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売買なので、利用者の信用力は問われません。
従って、利用者が下記に該当しても、取引先の信用力が高ければ利用できます。
ファクタリングは原則ノンリコースです。
ノンリコースとは、その資産以外に債権の取立てが及ばない(非遡及である)ことです。端的いうと「償還請求権がない」ことです。
例えば、売掛債権をファクタリング会社に売却した後に取引先が倒産しても、利用者は責任を負わず、ファクタリング会社が貸倒リスクを引き受ける取引形態のことです。
以上がファクタリングの特徴となります。続いて、ファクタリングのメリット・デメリットを解説します。
ファクタリングのメリット・デメリットは下表のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
業績・財務内容を問われない(債務超過OK) 個人信用情報が悪くても利用できる 税金・社会保険料を滞納していても利用可能 保証人・担保不要で利用できる 最短即日で売掛金を現金化できる 売掛金を売却しても取引先にバレない 売掛先が倒産しても返金不要 買掛金の支払い前に売掛金が手に入るので資金繰りが楽になる | 融資と比べて資金調達コストが高い(買取手数料が高い) 売掛金が無いと資金調達できない 売掛金の範囲内でしか資金調達できない 取引先にファクタリングの利用がバレる可能性がある 分割返済ができない ファクタリング会社によっては面談が必要な場合があるメ |
詳しくは別記事の「ファクタリングのメリット・デメリットを解説」をどうぞ。
以上がファクタリングのメリット・デメリットです。続いて、ファクタリングの注意点を解説していきます。
ファクタリングの注意点は下記4つです。
上記のとおり。
3社間ファクタリングを利用する場合、取引先の承諾が必要になります。
したがって、「取引先にファクタリングを利用することを知られたくない」とお考えの方が3社間ファクタリングを利用するすると取引先に知られるのでご注意ください。
ファクタリングの支払いができなくなった場合、分割払いはできません。
理由は2つあります。
上記の理由から、ファクタリングの分割払いはできません。
とはいえ、払えない時の対処法はあります。
詳しくは別記事の「ファクタリングが払えない!【分割払いはできないけど対処法あり】」をどうぞ。
ファクタリングの資金調達コストは高いです。
融資のように年利ではなく利用毎に買取手数料が発生するので、年利換算すると100%以上になることもあります。
3社間ファクタリングは2社間ファクタリングに比べて手数料は低めに設定されていますが、それでも年間の資金調達コストは融資と比べて何倍も高いです。
ちなみに手数料はファクタリング会社によって異なりますので、利用を検討する際は、極力、買取手数料の安いファクタリング会社を利用すべきです。
ごく少数ではありますが、ファクタリング会社の中には違法業者や悪徳業者が存在しています。
多くのファクタリング会社はまともに営業しています。
違法業者や悪徳業者は
などの特徴がありますので、怪しいと感じたら即刻関わらないようにすべきです。
詳しくは別記事の「ファクタリングがやばいと言われる理由【注意すべき会社の特徴を解説】」をどうぞ。
以上がファクタリングの注意点となります。続いて最後に、ファクタリングのよくある質問とその答えを紹介していきます。
ファクタリングのよくある質問とその答えは下記のとおりです。
上記のとおり。
ファクタリングは取引先の信用力を重視しているため、創業間もない会社でも取引先の信用力が高ければ利用できます。
取引先が創業間もない会社や個人事業主の場合、「未回収リスクが高い」と判断されやすく、利用は難しいです。
業歴が長い会社(安定経営)や、中堅企業、大手企業の売掛債権は信用力が高いと判断されます。
ほとんどのファクタリング会社は個人事業主でも利用できます。
一部、個人事業主非対応のファクタリング会社もあります。
ただし、売掛先が個人事業主の場合(個人事業主同士の取引)、買い取ってもらえない場合がほとんどです。
ちなみに、筆者が確認しているなかで、下記2つのファクタリング会社であれば、売掛先が個人事業主でも審査対象としています。
赤字決算でも利用できます。
極論、万年赤字でも取引先の信用力が高ければ利用できます。
ファクタリングは利用者の信用力よりも取引先の信用力を重視しています。
債務超過でも利用できます。
売掛先の信用力が高ければ、利用者の財務内容はほとんど問われません。
銀行・日本公庫借入のリスケジュール中でも利用できます。
税金や社会保険料の滞納中でも利用できます。
ただし、滞納度合いによっては利用者の入金口座・売掛金を差し押さえられるリスクがあるので、ファクタリング会社によっては滞納度合いによっては審査に通らない可能性があるのでご注意ください。
少額の売掛金でも利用できます。
10年ぐらい前は少額債権の買取に対応しているファクタリング会社はほとんどありませんでしたが、最近はオンライン完結型のファクタリング会社が増えてきているので、オンライン対応のファクタリング会社は少額債権の買取に対応しています。
数万円の小口債権でも買取対応しています。
詳しくは、下記記事を参考にしてください。
基本的に、2社間ファクタリングであれば取引先にバレることはありません。
ただし、下記のようなケースの場合、
ファクタリングを利用していることはバレます。
詳しくは別記事の「ファクタリングを利用すると取引先にバレる?【バレるケースあり】」をどうぞ。
売掛債権を現金化するという点において、ファクタリングと手形割引は似ていますが、両社は異なります。
手形割引はあくまで「融資」であり、ファクタリングは「債権の売買」となります。
詳しくは別記事の「【ファクタリングと手形割引の違い】どちらを利用すべき?」をどうぞ。
ファクタリングは融資ではなく債権の売買契約なので、利息制限法の適用範囲外です。
したがって、違法ではありません。
詳しくは別記事の「ファクタリングが違法ではない理由【法的根拠と違法業者の見分け方を解説】」をどうぞ。
ファクタリングの仕組みそのものは危なくないですが、本記事の「違法業者や悪徳業者がいる」でも解説したとおり、危ない業者は存在します。
詳しくは別記事の「ファクタリングは危ない?危険性と対処法を解説」をどうぞ。
資金繰りが改善するかどうかは、買取手数料次第です。
基本的な考え方は下記のとおりとなります。
詳しくは別記事の「ファクタリングを利用すれば資金繰りは改善する?【買取手数料次第】」をどうぞ。
以上、売掛金で資金調達するファクタリングの仕組みや特徴、注意点を解説しました。
ファクタリングは融資とは異なり、ファクタリング会社が売掛債権を買取る仕組みなので、利用者の信用力はほとんど重視されず、売掛先の信用力が高ければ利用できます。
そのため、資金調達が難しい企業にとって利便性の高い資金調達方法ですが、資金調達コストが融資と比べて高いので、安易に利用すると利益が残らず、かえって資金繰りが苦しくなる可能性もあります。
利用検討の際は、ファクタリングを利用した場合のシミュレーションを行った上で、利用するしないの判断をするようにしましょう。
ちなみに、下記ファクタリング会社は2社間ファクタリングでも手数料が低めに設定されています。
取引き先に知られることなくファクタリングで資金調達したいとお考えの方は、上記のようなオンライン完結型の2社間ファクタリングを利用するといいですよ。