信用保証協会に代位弁済するメリットとデメリットを解説【基礎知識】

信用保証協会に代位弁済するメリットとデメリットを解説【基礎知識】

借入金の金利支払いが毎月負担になっている。これ以上、借入できないから、いっそのこと支払いを止めて代位弁済する事を考えているよ。

代位弁済すれば金利を払わなくて済むと思うけど、会社にとって何か不都合なことが起こったりしないかな?

代位弁済のメリットとデメリットを詳しく知りたい。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

ちなみに、代位弁済の流れや仕組みを網羅的に知りたい方は、「【保存版】信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?【網羅的に解説】」をどうぞ。

目次

信用保証協会に代位弁済するメリット2つ

信用保証協会に代位弁済するメリットは下記2つあります。

  • 毎月払っている借入金の金利を支払う必要が無くなる
  • 毎年発生する信用保証料を払う必要が無くなる

上記のとおりです。

毎月払っている借入金の金利を支払う必要が無くなる

信用保証協会に代位弁済する前は、銀行に約定通りの金利を毎月支払う必要がありますが、代位弁済すると金利を支払う必要が無くなります。

例えば、年利2.5%のマル保(保証付融資)融資で1億円の融資残高があるような場合、毎月、20万8千円程度の利息支払い負担が発生します。

  • マル保融資の残高が1億円ある場合
    • 借入額:1億円
    • 年利:2.5%
    • 年間支払利息:250万円
    • 月々の利息支払い:20万8千円

しかし、代位弁済すると銀行に金利を支払う必要が無くなりますので、20万8千円の支払い負担が無くなります。

一応、信用保証協会に毎月少しでも良いから返済するよう求められますが、月々の返済は1万円~3万円ぐらいで収まるケースが殆どなので、支払負担は激減します。

毎年発生する保証料の支払う負担がなくなる

マル保(保証付融資)融資を受けると、融資残高に対して一定の保証料が毎年発生します。

代位弁済すると保証料が無くなりますので、支払い負担が無くなります。

信用保証協会に代位弁済するデメリット6つ

信用保証協会に代位弁済するデメリットは下記6つです。

  • 保証付融資を受けている銀行口座がロックされる
  • 銀行や政府系金融機関からの借入が絶望的になる
  • 個人信用情報機関に異動情報が登録される
  • 遅延損害金が発生する
  • 不動産を担保に入れて融資を受けていれば換価処分される
  • 連帯保証人への督促

上記のとおりです。

保証付融資を受けている銀行口座がロックされる

信用保証協会に代位弁済されると、マル保融資を受けている銀行口座は代位弁済の手続きが完了するまでの間、口座はロックされます。

したがって、入出金はできなくなります。

この時、銀行口座に資金が入っていると借入金と相殺され、代位弁済手続きが完了するまでの間に入金があると、そのお金も借入金と相殺されてしまいます。

代位弁済の手続きが完了すると、ロック解除となり、その口座はまた使えるようになります。

ただし、普通保証(保証割合80%)でマル保融資を受けていると、銀行が20%請求してきますので、口座に入金すると相殺されてしまいますのでご注意ください(代位弁済された口座は使わない方が安全です)。

詳しくは「信用保証協会に代位弁済されると銀行口座は凍結する?【するけど後で解除されます】」をどうぞ。

銀行や政府系金融機関からの借入が絶望的になる

代位弁済するということは求償債務を負う事になりますので、「【銀行融資】代表者の個人信用情報がブラックでも融資は受けれる?」でも解説しているとおり、求償債務を負っている間は新規融資は絶望的になります。

一応、代位弁済された求償債務の返済を続けることで新たな借入を起こす事ができる「求償権消滅保証」という、代位弁済した企業に新たな保証を付ける救済措置はありますが、ハードルは非常に高いです。

救済措置を受けるには求償債務の返済を続ける必要がある

求償権消滅保証とはどんな保証制度?代位弁済の求償権を借換える仕組みについて解説」でも解説しているとおり、求償権消滅保証を受けるには、ある程度継続して求償債務を返済していく必要があります。

また、求償債務以外の負債があれば(買掛金、税金、社会保険料など)求償債務の返済と同時にきちんと履行しない限り、保証を受けることはできません。

この記事を書いている筆者は、資金繰り・事業再生コンサルタントとして2009年から活動していますが、実際に求償権消滅保証を受けたという方を2人しか見た事がありません。

個人信用情報機関に異動情報が登録される

代位弁済すると金融事故扱いとなり、個人信用情報機関に異動情報(いわゆる「ブラック」)が登録されます。

個人信用情報機関に異動情報が登録されると、以下の状況が起こります。

  • 手形が使えなくなる(手形帳を新規に発行してもらえなくなる。)
  • 銀行系のクレジットカードは使用停止となる(使い続けることができるカードももちろんあります)
  • 新たなクレジットカードが作り難くなる(5年ぐらい経てば作れます)
  • 銀行系のリースは組み難くなる
  • 住宅ローンが組めなくなる

ノンバンクであれば融資を受けれる可能性はありますが、数年間は無担保・無保証での借入は難しくなります(不動産担保ローンであれば資金調達できる可能性はあります)。

代位弁済の実行を検討する際は、こうしたデメリットがあるということをきちんと認識しておきましょう。

遅延損害金が発生する

代位弁済すると、元本を返済するまで、年率14.6%の遅延損害金が延々と発生することになります。

ただ、遅延損害金については解決策がありますので、気に病む必要はありません。

不動産を担保に入れていれば換価処分される

不動産を担保に入れてマル保(保証付融資)で融資を受けている場合、代位弁済すると競売による換価処分をされてしまいます。

とはいえ、すぐに競売に掛けられてしまう訳では無く、代位弁済の手続きが完了すると信用保証協会の審査部から連絡があり、「今現在、営業で土地・建物を使用していますか?」という事を聞かれます。

この時の返答によっては以下のようになります。

  • 営業で使用している場合 → 3カ月待ちますから、買い手を探しなさいと言われる
  • 営業で使用していない場合 → このまま競売の手続きに入ると言われる

土地・建物を営業で使用していれば、任意売却で保全を図る事ができます。

ただし、時間が限られていますので、早急に動いて買受先を探すようにしましょう。

任意売却で保全を図るには、まずは不動産の市場価格(流通相場)を把握する必要があります。

以下の記事で不動産一括査定サービスを紹介していますので、市場価格を調べる時の参考にして下さい。

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連帯保証人への督促

マル保(保証付融資)融資の借入を起こす際に連帯保証人を入れていれば、連帯保証人に対して督促が行きます。

基本的には代表者宛てに督促が行きますが、業歴が長い企業は第三者保証が入っているケースが少なくありません。

そのような場合、当然、第三者の連帯保証人へも督促が行くようになります。

もし、マル保融資を受ける際に第三者の連帯保証人を入れて融資を受けた場合、「【銀行融資】連帯保証を外す事はできる?【経営者保証ガイドラインを活用すれば可能】」という記事でも解説しているとおり、保証契約を解除できる可能性があります。

代位弁済後なので、さすがに無傷で解除することは難しいですが、連帯保証人のご自宅の保全を図れる可能性があります。

ですので、もし、第三者の連帯保証人を入れてマル保融資を受けていた場合、ガイドラインの活用を検討しましょう。

まとめ

以上、信用保証協会に代位弁済された場合のメリット、デメリットについて解説しました。

おわり。

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