業績が良く、既借入金の元本が毎月確実に減っている間は、銀行融資を受けることができますので、融資を絞られるような心配をする必要はありません。
しかし、そうでない場合、銀行は「これ以上の貸出は危険かもしれない」と判断し、徐々に融資を絞ろうとしてきます。
銀行融資を絞られるようになると、依頼した金額が満額借りれなかったり、最悪、謝絶という可能性も十分あります。
手元資金にある程度余裕があれば、謝絶されても資金繰りは回ると思いますが、「いつも貸してくれるから、また貸してくれる」と思い込み、手元資金に余裕がない状態で謝絶されてしまったら、資金ショートに陥る可能性が出てきます。
このような事態を回避するために、銀行が融資を絞る兆候を見逃さないよう、銀行が融資を絞ろうとする時のサインを4つ紹介します。
銀行融資を受けられなくなる兆候4つ

銀行融資を受けられなくなる兆候は下記4つあります。
- 新規融資の金利を従来よりも高めに提示してきた
- 融資審査の際に、追加で資料を要求してくる
- 長期で借りれると思っていたら「短期でしか貸せません」と言われた
- 新規融資の相談をしたら、借換えを提案してきた
上記のとおりです。
新規融資の金利を従来よりも高めに提示してきた
新規融資の依頼をしたら、従来の金利よりも高めの金利を提示してきたら要注意です。
金利が上がるということは、銀行が融資先企業に付けている債務者区分のランクが悪化してしまった事を意味します。
債務者区分のランクが悪化すると、銀行は貸倒引当金を多く積む必要性が出るため、銀行の利益は減少します。
利益が減少した分の損失を補填するため、銀行は融資先企業への金利を引き上げるのです。
新規融資は金利を上げやすい
銀行からすると、既存融資の金利を上げるのは難しいですが、新規融資であれば、新たに契約を締結する事ができるので、簡単に金利を上げる事ができます。
従来の金利よりも高めに提示してきたという事は、銀行が融資先企業を警戒している証拠ですので、この先、融資を絞られる可能性は高いです。
融資審査の際に、追加で資料を要求してくる
今まで、新規融資の依頼をしても追加で資料を提示するように求めてこなかったのに、追加で資料を求めてくるようになったら要注意です。
場合によっては、今後、融資を絞られる可能性が高いです。
通常の資料であれば問題無い
例えば、「今後、売上が上がる見込みがあり、そのために運転資金が必要」という相談をした場合、直近の試算表や、事業計画書を求められたり、計画の裏付けとなる契約書・発注書などの資料は要求してくると思います。
こうした資料は、当然、融資審査で必要となりますから、特に警戒する必要はありません。
今まで要求されたことがない資料を求めてきたら要注意
今まで売掛金の内訳などの詳細資料を求められたことが無かったのに、「内訳の詳細資料が欲しい」などと要求してきた場合、銀行は融資先企業を警戒している可能性があります。
もちろん、担当者が審査を通すために、懸念となるところを調べるため、追加資料を要求してくるという事も考えられますが、銀行から何らかの懸念を持たれている可能性がゼロではありません。
なので、今まで要求されたことが無い資料を求められたら、銀行員に「なぜ、今回はその資料が必要なのですか?」と、確認してみて下さい。
長期で借りれると思っていたら「短期でしか貸せない」と言われた
今まで長期で貸してくれていたので、今回も当然、長期で貸してくれると思い込んでいたら、「短期(1年以内)でしか貸せません」と言われた場合、今後、融資を絞られる可能性が高いです。
短期でしか貸せないという事は、融資先企業の業況が芳しくないため、銀行は「従来のように長期で貸すとリスクが高いから、とりあえず短期で貸して、様子を見よう」と警戒しているのです。
新規融資の相談をしたら、借換えを提案してきた
新規融資の相談をしたら、「新規融資は難しいので、借換えませんか?」等と言われたら要注意です。
最悪、数年間は借りれなくなる場合が殆どです。
例えば、数年前に3,000万円の運転資金を借りて、1,000万円程元本を返済しているような場合、この融資を借換える事により、返済された元本1,000万円までなら融資するというケースです。
銀行がこのような提案をしてくる場合、融資先企業を警戒しているのは間違いありません。
この先、数年は借りれなくなる場合が殆どなので、銀行から借換えを提案されたら、目一杯借りた方が良いです。
ちなみに銀行から借換えを提案された時に、応じるかどうかについて「【銀行融資】新規融資を依頼したら借換えを提案されたけど応じるべき?【結論:返済財源次第】」という記事で詳しく解説していますので、是非どうぞ。
まとめ
以上、銀行融資を受けられなくなる4つの兆候(融資を絞ろうとする時のサイン)について解説しました。
もし、一つでも該当することがありましたら、今後の銀行融資は難しくなりますので、銀行融資を当てにして資金繰りを組むと危険です。
リスケジュール(返済条件変更)や、ノンバンクからの資金調達を検討するなど、資金ショートを起こさないよう、日々の資金繰りを管理するようにしましょう。