
返済資金がそろそろ必要になってきから、銀行に新規融資の相談をしたら、借換えを提案された。
借換えなら毎月の返済負担は減ると思うけど、経常収支がトントンぐらいだし、返済資金を捻出できるかどうか分からない。
銀行の言う通り借換えた方が良いのか、いっそのことリスケジュールして元本返済自体を止めた方が良いのか、教えて欲しい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
借換えに応じるか応じないかは返済財源次第【結論】


手元資金が減ってきたので銀行に新規融資を依頼したら、「新規融資は難しいですが、借換えなら可能です。いかがでしょうか。」と借換えを提案された場合、どのように判断したら良いでしょうか。
銀行の提案どおり、借換えに応じた方が良いのでしょうか。
それとも、借換えを断ってリスケジュールを検討した方が良いのでしょうか。
結論から言うと、借換えに応じるか応じないかの判断は返済財源次第といえます。
ちなみに、以下の記事でリスケジュールについて詳しく解説していますので、参考にして下さい。


借換えに応じるか応じないかの判断基準3つ


銀行に借換えを提案された時、応じるか応じないかの判断基準は下記3つあります。
- 返済財源を確保できているかどうか
- 真水が出るかどうか
- 借換えを実行した場合、1年以上資金繰りがもつかどうか
上記のとおりです。
返済財源を確保できているかどうか
「【銀行融資】リスケジュールと借換えはどう違うの?両者の違いを解説」という記事でも解説しているとおり、既存融資を借換えた場合、毎月の元本返済を減らす効果はありますが、元本返済を継続することになります。
例えば、毎月100万円の元本返済をしている企業が、借換えを実行することで毎月の元本返済を50万円に減らす事ができたとします。
毎月の元本返済が50万という事は、年間の元本返済額は600万円になります。
- 50万円 × 12カ月(1年間)=600万円
この場合、年間600万円の返済財源が必要となります。
返済財源の計算式は次のとおりです。
- 返済財源 = 税引後当期純利益 + 減価償却
年間の返済財源を600万円以上確保できるのであれば、借換えに応じるメリットはあると言えますが、返済財源が無ければ借換えても意味がありません。
もし、返済財源が捻出できないようであれば、借換えではなくリスケジュールした方が良いと判断できます。
真水が出るかどうか
真水とは銀行融資の増加額のことを言うのですが、真水が出る借換えなのか、ただの借換えなのかにもよって、借換えに応じるか応じないかの判断は分かれます。
例えば、以下の条件で融資を受けたとします。
- 当初借入額:6,000万円
- 借入期間:5年
- 融資残高(残債務):2,400万円
- 毎月の返済額:100万円
この既存の融資に600万円の真水を出してもらって借換えた場合、次のようになります。
- 当初借入額:3,000万円(600万円の真水がプラスされる)
- 借入期間:5年
- 毎月の返済額:50万円
つまり、600万円の新規融資を受けて、しかも毎月の返済が50万円に圧縮できます。
この場合、仮に返済財源がゼロだったとしても、600万円の新規融資を受けた訳ですから、1年間の返済原資を確保できていますので、最低でも1年は融資を受けなくても資金はまわります。
このように、借換えで真水が出るのであれば、借換えに応じるメリットはあると言えます。
借換えを実行した場合、1年以上資金繰りがもつかどうか
年間の返済財源を確認して、1年以上資金繰りが持つようであれば借換えに応じた方が良いですし、明らかに資金繰りは持たない、という事であれば、リスケジュールした方が良いです。
- 1年以上資金繰りがまわる → 借換えに応じる
- 借換えても資金繰りがまわらない → リスケジュールした方が良い
銀行融資を借換えるときのよくある勘違い


最後に、銀行融資を借り換える際のよくある勘違いを1つだけ紹介します。
- リスケジュールと違うから今後も新規融資をしてもらえる
上記のとおりです。
リスケジュールと違うから今後も新規融資をしてもらえる
半分正解で、半分間違っています。具体的には以下の違いがあります。
- 〇 正解:借換え前(期間5年)→ 借換え後(期間5年)
- ✖ 間違い:借換え前(期間5年)→ 借換え後(期間10年)
期間10年で借換えると、数年間は新規融資は絶望的となる
期間5年で借換えた場合、今後も新規融資をして貰える可能性はありますが(もちろん財務内容次第です)期間10年で借換えると、数年間は新規融資は絶望的となります。
元本返済を継続して資金繰りがまわれば良いですが、返済財源が捻出できないようであれば、長期の借換えではなく、リスケジュールを検討した方が資金繰りは楽になるといえます。
まとめ
以上、銀行に新規融資を依頼したら借換えを提案されたけど応じるべき?という事について解説しました。
応じるか応じないかのポイントは「返済財源」にありますので、自社の収益力と減価償却額を確認してから判断するようにしましょう。