
毎月の返済負担が厳しいから、借換えるかリスケジュールするか考えているけど、そもそも、両者の明確な違いがよく分からないよ。
どちらも毎月の返済を減らせるみたいだけど、具体的にどんな違いがあるのかな?
リスケジュールと借換えの違いを詳しく知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
リスケジュールと借換えは似て異なるものです


既借入金の返済負担が大きい場合、毎月の返済負担を軽減するための選択肢は2つあります。
- リスケジュール
- 借換え
いずれも毎月の返済負担を軽減させることができますので、資金繰りの改善策として非常に有効です。
ちなみに、リスケジュールについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ。


毎月の返済負担を軽減させるという点において、リスケジュールと借換えは似ていますが、両者の性質は全く異なります。
具体的な違いは2つあります。
リスケジュールと借換えの違い2つ


リスケジュールと借り換えの違いは下記2つです。
- リスケジュールは既存融資の条件変更、借換えは「新規融資」の扱い
- リスケジュールは貸出緩和債権なので信用区分が落ちるが、借換えは信用区分が落ちない
上記のとおりです。
リスケジュールは「既存融資の条件変更」、借換えは「新規融資」の扱い
リスケジュールと借換えの違いは次のとおりです。
- リスケジュール → 既存融資の条件変更
- 借換え → 新規融資を実行し、その資金で既存の融資を返済する
両者の違いをより具体的に解説するため、以下の条件で融資を受けたと仮定して解説していきます。
- 当初借入額:3,000万円
- 借入期間:5年
- 融資残高(残債務):1,200万円
- 毎月の返済額:50万円
既存融資をリスケジュールする場合
既存融資の毎月の返済額を、1年間毎月20万円に返済条件を変更をしてもらう場合の手続きを、リスケジュールといいます。
既存融資を借換える場合
既存融資を借換える場合、以下の条件で新規融資を実行してもらいます。
- 当初借入額:1,200万円
- 借入期間:5年
- 毎月の返済額:20万円
この融資を受けた資金で、既存融資1,200万円(毎月50万円返済)の返済に充当することで、毎月の返済額は次のように変化します。
- 毎月50万円 → 毎月20万円
このように、新規融資をしてもらうことで既存の融資を返済しする手続きのことを、借換えといいます。
リスケジュールは貸出条件緩和債権なので信用区分が落ちるが、借換えは信用区分が落ちない
既存融資をリスケジュールすると、「貸出条件緩和債権」という扱いになるため、銀行による融資先企業の信用格付け(債務者区分)は「正常先」から「要注意先」、あるいは「破綻懸念先」にランクダウンします。
この状態になると、新規融資を受けることが難しくなります。
貸出条件緩和債権は、銀行法施行規則において、「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取決めを行つた貸出金」とされている。
出典:貸出条件緩和債権関係Q&A – 金融庁 (P8)
リスケジュールすると新規融資が難しくなるというのはこのためです。
しかし、借換えはあくまで「新規融資」という扱いなので、約定返済をしていれば銀行から「正常先」として扱われます。
つまり、今後も新規融資を受ける事ができますので、もし、リスケジュールするか借換えるかでお悩みであれば、借換えを依頼されることをおすすめします。
返済負担が厳しい時にやらない方が良いこと


毎月の返済負担を軽くするための方法として、リスケジュールと借換えは有効な策ではありますが、返済負担が厳しい時にやらない方がよいことが1点あります。
- 新たな借入を増やさない(融資本数を増やさない)
上記のとおりです。
新たな借入を増やさない(融資本数を増やさない)
返済の負担が厳しいからといって、新たに借入を起こすのは得策ではありません。
例えば、銀行から3,000万円(期間5年/毎月の返済額は50万円)の融資を受けていた場合。
借入金の返済資金が無くなってきたため、新たに1,000万円(期間5年/毎月の返済額は約17万円)の融資を依頼したとします。
この融資が実行されると毎月の返済額は67万円に増加します。
- 今までの返済額 → 毎月50万円
- 新規融資を受けた後の返済額 → 67万円
新たな融資を受ける事で、一時的に手元資金は増加しますが、毎月の返済額が増えてしまいますので、返済による資金流出は今までよりも加速します。
資金調達しなければ資金ショートしてしまう、という事であれば、新規融資を依頼した方が良いですが、そこまで逼迫していない場合は、返済額を減らしつつ、いかに資金調達していくか、ということがポイントとなります。
まとめ
以上、リスケジュールと借換えの違いについて解説しました。
おわり。