資金調達
カード選び
ファクタリングの利用を検討しています。
検討材料として、メリットとデメリットを詳しく知りたいです。
本記事では、こういった要望にお答えします。
なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験をもとに、本記事では、ファクタリングのメリット・デメリットをまとめました。
ファクタリングの利用を検討している方の参考になれば幸いです。
まず、ファクタリングには下記4つの特徴があります。
商取引で発生した売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことで資金調達する方法です。
商品やサービスを販売しても入金が30日~90日先だと資金繰りは厳しくなります。このような時、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、売上の入金を待つことなく現金化できます。
ファクタリングのメリットは下記8つです。
上記のとおり。
融資の場合、業績や財務内容をもとに審査しますので、下記項目に1つでも該当すると融資を受けることは難しくなります。
しかし、ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売買なので、利用者の業績や財務内容が悪くて、取引先の信用力が高ければ問題ありません。
ファクタリングは融資ではないため、代表者の個人信用情報は関係ありません。
利用者の代表者がブラックであったとしても、売掛先の信用力が高ければ売掛金を買取ってもらえます。
ファクタリングは売掛債権の売買なので、税金や社会保険料を滞納していても利用できます。
銀行や政府系金融機関から融資を受ける場合、税金や社会保険料を滞納していると融資を受けることは難しくなります。
滞納の度合いが軽微であれば調達できる可能性はありますが、滞納額が大きい・滞納の解消に1年以上かかる場合、資金調達は絶望的となります。
ノンバンクであれば可能性はありますが、基本的に難色を示されます(滞納が常態化しているとNGになる場合がほとんど)
しかし、税金や社会保険料を滞納していても、ファクタリングであれば資金調達は可能です。
融資の場合、貸し倒れのリスクを少なくするために保証人や担保を求められる場合がほとんどですが、ファクタリングは融資ではなく、売掛債権の売買なので、保証人や担保不要で利用できます。
ここ数年、申し込みから契約までオンラインで完結するファクタリングサービスが増えてきています。
入金明細や請求書・契約書をアップロードすると、最短15分~30分程度で買取可能額を提示してくれるサービスがありますので、こうしたファクリング会社を利用すれば、最短即日で売掛金を現金化できます。
ファクタリング会社の中にはオンライン非対応の会社もあります。その場合、郵送でのやり取りになるため、買取実行まで2~3日程度かかります。
参考までに、オンライン完結型のファクタリング会社をいくつか紹介しておきます。いずれも最短即日での入金が可能です。
上記以外のファクタリング会社に興味がありましたら、下記記事を参考にしてください。
筆者がコンサルタントとして活動を始めた2009年当時、最短即日で現金化できるファクタリングはありませんでした。現在は資金調達方法が多様化・進化していると感じます。
2社間ファクタリングに限られますが、売掛金を売却した事実が取引先にバレることはありません。
ファクタリングの契約方法は下記2種類あります。
2社間ファクタリングは契約当事者が利用者とファクタリング会社だけなので、取引先に売掛金を売却した事実がバレることはありません。
一方、3社間ファクタリングは契約当事者が利用者とファクタリング会社、取引先の3社間での契約になるため、取引先にバレます。
3社間ファクタリングは取引先の承諾を必要とするため、ファクタリング会社から取引先に通知が行きます。
ファクタリングはノンリコース(償還請求権がない)なので、ファクタリング会社に売掛金を買取ってもらった後に売掛先が倒産しても返金を求められることはありません。
ファクタリングの手数料が高いのは、売掛金の未回収リスクを織り込んでいるためです。
現金商売は別として、一般的に、商品・サービスを販売して売上が発生すると、売上の回収よりも先に仕入れや外注費などを支払うことになります。
例えば、1,000万円を売上た場合。
下記のように支払いが30日後で入金が60日後であれば、700万円の運転資金が必要になります。
このような時、ファクタリングを利用するば売掛金をすぐに現金化できるため、売掛金の入金を待たなくて買掛金を支払えるようになり、資金繰りが楽になります。
以上がファクタリングのメリットです。続いて、デメリットを紹介していきます。
ファクタリングのデメリットは下記6つです。
上記のとおり。
ファクタリングは融資と比べて資金調達コストが高いです。
融資とファクタリングの調達コストの相場をまとめると下表のとおりです。
調達手段 | 利率(年利) | 手数料(相場) |
---|---|---|
銀行や政府系金融機関 | 2%~4% | – |
銀行ビジネスローン | 3%~14% | – |
ノンバンクのビジネスローン | 6.0%~18.0% | – |
2社間ファクタリング | – | 6%~18% |
3社間ファクタリング | – | 1%~9% |
例えば、銀行から年利2%で1000万円の融資を受けた場合。
年間20万円の利息支払いで済みます。
一方、ファクタリング会社に100万円の売掛金を手数料15%で買い取ってもらった場合。
一回の買取で15万円の手数料をチャージされます。
年に数回利用する程度なら多少は目をつむれると思いますが、毎月利用するとなると、買取ってもらう度に手数料が発生するので、調達コストが高くつきます。
ファクタリングの利用が常態化すると利益率が悪化するので、なるべくなら緊急時のみの利用にとどめ、融資に切り替えるようシフトすべきです。
詳しくは別記事の「ファクタリングをやめたい!【現役コンサルがやめ方を解説】」をどうぞ。
ファクタリングは売掛金をファクタリング会社に売却して資金調達する方法なので、売却対象となる売掛金が無ければ資金調達できません。
ファクタリングは売掛金を売却して資金調達する方法なので、売掛金の額を超える資金調達は不可能です。
500万円の売掛をファクタリングする場合、500万円以上の金額は調達不可能です。
本記事の「売掛金を売却しても取引先にバレない」という項目でも解説したとおり、ファクタリングは下記2種類の方法があります。
2社間ファクタリングであれば取引先にバレませんが、3社間ファクタリングの場合、取引先の承諾が必要なので、ファクタリングの利用がバレます。
ファクタリングは分割返済ができません。
理由は、分割返済を認めると融資扱いになる可能性が高く、ファクタリング会社が貸金業法に抵触するリスクが増えるからです。
ファクタリングとして行われ、契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」であることが定められた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
例えば、譲渡した債権の回収(集金)がファクタリング業者から売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、○ 売主が債権を買い戻すこととされている
○ 売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされているなどといったようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起:金融庁
ファクタリング会社の立場からすると非常にリスクが高いので、基本的には分割返済できません。
ただし、絶対に分割返済できないということはなく、例外はあります。
詳しくは別記事の「ファクタリングが払えない!【分割払いはできないけど対処法あり】」をどうぞ。
ファクタリング会社にもよりますが、申し込みに面談が必要な場合があります。
オンライン面談対応ならPCやスマホがあれば対応できると思いますが、オンライン面談に対応していなければファクタリング会社に訪問することになります。
ファクタリング会社が近ければ気にならないと思いますが、遠方であれば時間と費用がかかります。
申し込みの際は、極力、オンライン完結型のファクタリング会社の利用をおすすめします。
ちなみに、本記事の「最短即日で売掛金を現金化できる」という項目で紹介したファクタリング会社であれば、申し込みから買い取り実行までオンラインで完結します。
お急ぎの方はもちろん、遠方の方もファクタリングを利用するなら、極力、オンライン完結型を利用した方が効率的に調達できますよ。
以上、ファクタリングのメリット・デメリットを解説しました。
ファクタリングは売掛金を最短即日で現金化できる大きなメリットがありますが、一方で、調達コストが高いという大きなデメリットもあります。
メリット・デメリットをきちんと把握したうえで、利用する・しないをご検討ください。