資金調達
カード選び
ご相談者様からコンサルティングの依頼を受ける前に、よく、
などといった質問をよく頂きます。
この手の質問は取引銀行のスタンスが分かっていれば即答できますが、基本的に全く情報が無いところからのスタートとなりますので(取引行のスタンスが全く分からない状態)、この時点で回答するのは非常に難しいです。
そこで、まずは取引銀行のスタンスを見極める必要がでてきます。
「取引銀行」を一括りに考えている方がいらっしゃいますが、一口に「取引銀行」と言っても、対応や考え方が異なるケースが殆どです。
例えば、下記3つの銀行と取引している場合。
3行が全く同じスタンスで対応をしてくれるのであれば、再生スキームを検討するのもそう難しくありませんが、基本的にそのようになるケースは稀で、殆どのケースで銀行のスタンスはバラバラだったりします。
リスケジュールとかであれば3行横並びで対応してくれますが、組織再編や、負債の処理が絡むとそうはいきません。金融機関の規模や貸付金の保全率、融資シェア等、様々な要因によってスタンスは変わってきます。
実際、銀行のスタンスはどれぐらい違うのでしょうか。一つの例として、クライアント様と金融機関に訪問した時によくあるやり取りをご紹介します。
このような感じで、金融機関のスタンスというのはバラバラな事が多いのです。
取引している銀行のスタンスが分かっていれば、「こうした方が良いですよ」ですとか、「このようなスキームを作って、B銀行に「最終的な返済額に変化がない」という説明をすれば、こうした方法が取れます」という提案が可能ですが、スタンスが分からないと回答が難しいです。
例えば、下記のように
などといった情報を押えていれば、即答しやすいですが、スタンスが全く分からず、「これから担当者に聞いてみる」というようなことになると、スタンスを見極めるまで方向性を打ち出すのは難しいです。
もちろん、債権者を無視した方法もありますが、長期的な目線で考えると一概に良い方法とは言えません。なので、まずはスタンスを見極め、そこから再生計画を検討する必要があるのです。
再生計画を検討する時は、概ね下記の流れで策定する事が殆どです。
現況調査はきっちりやろうとすると時間はかかりますが、決算書3期分と、直近の決算の勘定科目、社長からのヒアリングである程度「こんな方法がある」というのが比較的短時間で浮かんできます。
ただ、スタンスが分からないと「社長の意向に沿って再生スキームを考えると、第二会社方式がベターだけど、恐らくメインが納得しないだろうな…」という事がある程度分かります。
こうした情報を把握していれば、「第二会社方式を使えば、負債の処理と事業承継を二つ同時に行えますが、A銀行が恐らく抵抗するでしょうね。となると、後は〇〇の方法か、経営者保証GLを使って…」というような、大まかな方向性を提案する事ができるのです。
第二会社方式の詳しい解説は以下の記事を参考にして下さい。
「ウチの会社は事業再生が必要」と思ったら、最低限、取引行のスタンスを確認される事をおすすめします。
担当者にそれとなく聞いてみたり、それかダイレクトに「御行はウチの事どう見てますか?」とか、「融資先で第二会社を作ったとことかありますか?」などと聞くと、結構色々教えてくれるものです。
数年前であれば、債権放棄の聞こうものなら「何言ってるんですか?」と、冷淡な感じで対応される事が殆どでしたが、最近は結構簡単に「うちはすぐバルクに出しますよ」とか、「ウチは系列のサービサーに回収委託をして、その後は債権を売却するみたいですよ」とか教えてくれます。
なので、ウチの事どう思っているのか?と思ったら、直接聞いてみて下さい。意外と普通に答えてくれたりしますので。
内容的に、電話で聞きにくいことが多いので、聞くとなると直接会って話をしている時に聞く事が多いです。ですので、「事業再生に取り組もう」と考えた後に聞くのではなく、もっと早い段階で聞いた方が良いです。
取り組もうと考えてから情報収集しようとすると、1行と取引しているなら時間はかからないと思いますが、3行、4行と取引しているような場合、担当者との日程調整に時間がかかり、「情報収集に1カ月かかった」という事がよくあるからです。
こうなるとその分、再生計画の策定が遅れてしまうので、なるべく早めに銀行のスタンスについて、情報収集をしておいた方が良いです。
資金繰りの問題を抱えている企業が、
などと考える気持ちは理解できますが、銀行のスタンスが分からないと方向性を決める事は結構難しいです。
取引行のスタンスを把握していれば、ある程度シミュレーションができますので、何パターンか方向性を打ち出せますが、全く分からないと難しい理由がここにあるのです。