資金調達
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業績が好調で資本金よりも預金残高の方が増えてきたけど、銀行はこの状態をどのように見るのかな?
預金残高は少ないより多い方が良いとよく聞くけど、資本金より多くなっても問題無いかな?
預金残高を多くしたままでも良いのか、資本金を増やした方が銀行融資が受けやすくなるのかの知りたいよ。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
業績が好調で、毎年、利益を積み上げるようになると、資本金よりも預金残高の方が多くなることがあります。
具体的には以下のような状況です。
このような場合、このまま預金残高を増やした方が融資が受けやすくなるのか、あるいは資本金を増やした方が(増資)融資は受けやすくなるのか、どちらが銀行からの評価は良くなるのでしょうか。
結論から言うと、預金残高が増えても、資本金を増やしても銀行の評価は殆ど変わりません。
理由は、現金という内部留保があるという点において、預金残高も資本金も同じだからです。
預金残高と資本金、性質が異なる資金ではありますが、内部留保が多いという点において共通しています。
例えば、以下2つのケースがあった場合。
基本的にはどちらのケースも600の資金を保有しているという点においては同じなので、預金残高が多くても、資本金が多くても、銀行からの評価は殆ど変わらないのです。
預金残高と資本金のどちらが多くても評価は殆ど変わりませんが、今後、借入を増やしていくとなると話は異なります。
以下2つのケースがあった場合、後者の方が大きな金額を借りやすいです。
借入残高を増やすことを考えていない方は資本金を増やす必要はありません、
今後、借入を増やしてどんどん事業に投資したいとお考えの方は、資本金を増やした方が大きな金額を借りやすくなるので、増資を検討した方が良いです。
預金残高よりも資本金を増やした方が借入を増やせる理由は2つあります。
上記のとおりです。
資本金を増やせば自己資本比率が上がり、財務安定性が高くなりますので、借入を増やしやすくなります。
このことは「【必見】銀行融資が有利になる決算書の特徴12選」という記事でも解説しているとおり、銀行は自己資本比率を重視しており、基本的には次のように判断します。
自己資本比率が低いということは、他人資本(借入)の依存度が高く、財務安定性が低いと判断されてしまうため、借入を増やすのは非常に難しくなります。
ちなみに、経営者が会社にお金を貸している(役員借入金)場合、資本とみなし、実質自己資本として評価してくれるようになり、借入を増やしやすくなります。
詳しくは「実質自己資本とは?求め方や自己資本との違いを解説」をどうぞ。
資本金が増えればレバレッジがかかるので、大きな金額を借り易くなります。
レバレッジとは、梃子(てこ)の原理のことを言います。
例えば、以下2つのケースがあった場合。
ケース1とケース2では、借入金額に10倍の差がありますが、自己資本比率はどちらも同じ23%です。
先程のケース1の会社が1,000万円の追加融資を受けた場合、自己資本比率は13%に下がります。
自己資本比率13%にあるということは、水準的には危険水域となります。
一般的には自己資本比率を10%を下回ると、危険水域という見方をされます。
資本金を300万円増資して、1000万円の融資を受けた場合、自己資本比率は23%と、20%以上をキープしています。
このように、資本金を増やせば自己資本比率が高くなり、大きな金額を借り易くなります。
資本金を増やす事でレバレッジ(梃子)がかかり、大きな金額を借りられるようになりますので、事業に投資したいとお考えの方は、資本金を増資した方が大きな金額の融資が受けやすくなるのです。
以上、預金残高と資本金、どちらを増やした方が評価が上がるのか、という事について解説しました。
どちらが増えても基本的な評価は同じですが、今の事業に投資する事をあまり考えていなければ、預金残高が多い状態でも良いですが、今の事業に投資してどんどん大きくしたいとお考えであれば、資本金を増やした方が大きな金額を借りやすくなります。