
税金を納めないといけないのは分かっているけど、資金繰りが厳しくてなかなか納付できないから分納して貰えるよう、税務署に相談に行ったけど、担当者に「倒産すれば?」と言われたよ…。
資金繰りが厳しい中、分納のお願いに来てるのに「倒産すれば?」とか「今の会社を閉めた方が早いのでは?」なんて言われたら絶望だよ。
期日どおり税金を納付できない企業は税務署の人が言うとおり倒産した方がよいのかな…今後どうすれば良いのか教えて欲しい。
この記事ではこういった疑問にお答えします。
税務署の分納相談の時に言われる「倒産すれば」は事業再生のアドバイス


税金を滞納している企業が税務署に分納の相談に行くと、次のいずれかの対応をされます。
- 現状報告が済んだ後は淡々と分納の手続きを進める。
- 「具体的に何時納付できるのか?これ以上は待てない!」と詰め寄られる。
滞納して間もない、あるいは滞納するのが初めてという方は、前者の対応となり、事情を説明すれば淡々と分納手続きを進めてくれる場合が殆どです。
でも、滞納が常態化するようになると、淡々と手続きを進めてくれるような事は殆どありません。
- 具体的に何時納付できるのか?
- 〇月頃に受注した仕事は何時ぐらいに入金されるのか?
- それを支払うと手元にいくら残るのか?残った金で納付できないのか!
などといったように、矢継ぎ早に質問され、最後は「いつになったら納付できるのか」と詰められます。
詰められるだけならまだしも、相談している最中に「倒産すれば?」とか「さっさと止めた方(事業)が早いんじゃないですか」などと言ってくる徴収担当者もいます。
資金繰りが苦しい中、なんとか税金を納めようと頑張るために分納の相談にきているのに、こんな事を言われたら絶望しそうになるかもしれませんが、
結論から言うと、徴収担当者が「倒産すれば」というのは、嫌がらせや嫌味で言っているのではなく、遠回しに事業再生を勧めているだけに過ぎないので、額面どおり受け取る必要はありません。
頭を切り替えて事業再生を検討するようにしましょう。
「倒産すれば」事業再生のアドバイスの意味
担当者のいう「倒産すれば」の意味は、税金滞納・負債過多の状態で事業継続するのではなく、
「第二会社方式を活用して、税金滞納・負債のない会社に収益事業を移し、負債の無い会社で再スタートした方が良いですよ。」
という、税務署からのアドバイスなのです。
新しい会社に事業を移すことで、
- 税金滞納は解消され、
- 既借入金の利払い負担も解消され、
- 結果的に多くの利益を出せるようになり、
- 多くの税金を納税することができるようになります。
- 収益事業を新しい会社に移すので、余計なキャッシュアウトは無く、滞りなく納税できるようになる。
という、好循環を生むことができるようになりますので、「倒産すれば」と言うのです。
ちなみに、第二会社の詳しい解説は「第二会社方式による事業再生とは?概要から成功のポイント、失敗例などについて解説」をどうぞ。
遠回しではなくダイレクトに言ってくる方もいる
「倒産すれば」という言葉はかなり遠回しな言い方なので、言われる側からすると、気づきにくいと思います。
しかし、担当者の中には遠回しな言い方をせず、次のようなアドバイスをしてくれる方もいます。
- 別会社を作って新しい会社に事業を移した方が良い
- 専門のコンサルタントに相談した方が早い
延々と滞納されるよりは、新しい会社で利益を上げてもらい、滞納する事なく、たくさん税金を納めてくれた方が税務署としてもメリットが大きいのだと思います。
回収できない相手に督促状を送付したり、呼び出して納付相談をしても効率悪いですしね…。
第二会社なら滞納も解消でき、差押リスクも無くなる
第二会社方式を活用して、税金滞納・負債のない新会社に収益事業を移す事で、税金滞納・過大な負債を抱えている企業を切り離すことができますので、滞納は解消され、過大な負債からも解放されます。
また、税金を滞納すると預金口座や取引先の差押リスクが高まりますが、第二会社方式で不採算部門と別れてしまえば、差押とは無関係になりますので、差押リスクを回避できます。
これは非常に大きなメリットだといえます。
もちろん、滞納した税金を一生懸命少しずつでも納付していくというのも一つの方法ではあると思うのですが、非常に時間がかかることですし、
何より、慢性的な資金繰り難に悩まされるだけで、根本的な解決に繋がりません。
既存法人に思い入れもあるでしょうが、時間をかけて分納するよりは、新しい会社に収益事業を移した方が、余計な苦労が無くなります。
これ以上、税金滞納を状態化させないためにも、第二会社で事業継続する方法を検討してみましょう。
第二会社方式で別会社に事業を移す時の注意点


負債の処理と税金滞納をダブルで解決できる第二会社方式ですが、注意点が1つだけあります。
- やり方を間違えると負債と税金の両方を引継ぐ可能性がある
上記のとおりです。
やり方を間違えると負債と税金の両方を引継ぐ可能性がある
第二会社方式で新会社に事業を譲渡することで、既存会社の負債と税金滞納から開放されますので、収益性は劇的に改善します。
しかし、やり方を間違えると、既存会社の負債と税金を両方引継ぐ事となり、第二会社を作る意味が無くなる事がありますので、ご注意下さい。
筆者のお客様からご相談されるケースで、よくあるトラブルが旧会社と同じ商号を使うケースです。
「事業譲渡で商号続用する時は「名板貸責任」で負債を引き継がないよう注意」という記事でも解説しているとおり、旧会社と同じ商号を使うと、旧会社の負債と滞納している税金を引き継いでしまう可能性があります。
商号続用はあくまで一例に過ぎませんが、他にも気を付けなければならない事がいろいろありますので、第二会社を検討する際は、専門家の方からアドバイスを受けるようにして下さい。
ちなみに、以下の記事で第二会社の失敗例を紹介していますので、興味がありましたら、参考にして下さい。


まとめ
以上、税務署に分納の相談に行ったら「倒産すれば」と言われたことについて解説しました。
おわり。