
現在、一つの銀行から融資を受けているけど、他行さんから「是非借りて欲しい」と提案された。
今のところ手元資金もあるし、借りたら金利もかかるし、創業当初から付き合いのある銀行に悪い気がするよ。
このまま1つの銀行と付き合うべきか、取引銀行を増やしたほうが良いのか知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
複数の銀行から融資を受けるべき【結論】


創業からずっと一つの銀行から融資を受けていると、他行さんから「当行で是非借りませんか?」というような営業を受けたりする事があります。
メインバンクから提案を受ける分には検討しやすいですし、「メインバンクが言うなら借りておくか」という判断が働くと思いますが、取引したことが無い他行から提案を受けた場合、
- 他行から借りたらメインバンクが気を悪くするのでは?
- 借り過ぎても金利を払うのがもったいない
などと考えたりして、すぐに返事をするのは難しい場合があります。
このような時、複数の銀行と付き合うべきなのか、あるいは今までどおり一つの銀行と付き合い続けた方が良いのか、判断に悩むと思いますが、
結論から言うと、1つの銀行と付き合い続けるのではなく、複数の銀行から融資を受けた方が良いです。
複数の銀行から融資を受けた方が良い理由2つ


複数の銀行から融資を受けた方が良い理由は下記2つあります。
- 銀行間で競争が起こり、融資金利を下げる事ができる
- 複数の銀行と付き合っていればリスク分散につながる
上記のとおりです。
銀行間で競争が起こり、融資金利を下げる事ができる
一つの銀行としか取引をしていないと、競争が起きませんので、基本的に銀行が提示してきた金利の条件を飲む他ありません。
また、銀行の借入金利は「【銀行融資】借入金利は交渉で下げれる?【お願いしても下がらない】」という記事でも解説しているとおり、下げて欲しいとお願いして下がる事はありません。
しかし、複数の銀行と付き合っていると、銀行間で競争が起きますので、金利を下げやすくなります。
例えば、A銀行から年利2.5%で融資を受けていたとします。
そこへ、B銀行から「当行は年利2.25%で融資しますので、是非借りて下さい」という提案を受けたとします。
B銀行から提案を受けた内容をA銀行に「B銀行から年利2.25%で借りて欲しいと提案された」と伝えます。
すると、A銀行は「B銀行が金利 2.25%で貸しても良いと思っている財務内容なのか。それならウチも負けてられない!」となり、競争が始まります。
その結果、金利を下げられるメリットを享受できます。
銀行間の融資競争も激化している
銀行の収益モデルは主に下記3つで成り立っています。
- 貸出金利による収益
- 金融商品やサービスの提供による手数料収入
- 外国為替による収益
上記3つの収益の柱のうち、「貸出金利による収益」は日銀のマイナス金利政策を主因に、金利の低下によって押し下げられました。
そのため、メガバンクや大手地銀は低金利攻勢を強めており、銀行間の競争が激化しているため、今借りているメインバンクよりも好条件で借りられる銀行がある可能性が高いです。
このことからも、メインバンク一行とだけ付き合うのではなく、複数の銀行と付き合い、融資条件を比較する必要性があるのです。
複数の銀行と付き合っていればリスク分散につながる
メインバンク一行とだけしか付き合っていない場合、融資を依頼した時に断られてしまったら、銀行から融資を受ける術がなくなってしまいます(ノンバンクなら融資を受けれる可能性はあります)。
メインバンクから断られたら、他の銀行に融資の相談をするという事を考える方もいますが、銀行は一見客に対して厳しい対応をします。
よほど信用力が高い企業でなければ「一見客はお断り」というのが銀行のスタンスです。
なぜなら、「一見客は他の銀行に融資を断られた企業である可能性が高い」と考えるからです。
取引先銀行が一行だけの場合、いざというときに資金調達できなくなるので、注意が必要です。
複数の銀行から融資を受ける時のポイント3つ


複数の銀行から融資を受ける時のポイントは下記3つです。
- 少額でも良いので付き合う銀行を増やしておく
- 最低でも2行以上から融資を受けるようにする
- 金利の支払いは保険と割り切る
上記のとおりです。
少額でも良いので付き合う銀行を増やしておく
銀行から提案を受けやすくするために、まずは口座だけでも作って、お金を動かすようにしましょう。
お金の動き(入出金)があれば関心を持ってくれるようになりますので、まずは口座を開設し、お金を動かし、メインバンク以外のコネクションを作るようにしましょう。
お金を動かしていれば、担当者への決算状況の報告のチャンスも生まれますし、メインバンクよりも有利な融資条件を提案してくれる可能性も出てきます。
最低でも2行以上から融資を受けるようにする
複数の銀行から融資を受けるといっても、最寄りの銀行に片っ端から融資を依頼するような必要はありません。最低でも2つの銀行と付き合えばOKです。
売上規模にもよりますが、年商3億円ぐらいまでは、下記のような形がベターです。
- 銀行 → メインバンク、サブバンクの2行
- 政府系金融機関 → 日本政策金融公庫
金利の支払いは保険と割り切る
複数の銀行と付き合うということは、借入残高が増える訳ですから、金利支払いの負担は増えます。
この時、「今すぐ現金が必要な訳では無いのに、金利の支払い負担が増えるのは嫌だな…。」と考える経営者の方がいますが、銀行融資は借りれるウチに借りておくのが鉄則です。
会社が資金を必要としている時と、銀行が貸したい時というのは、なかなか一致するものではありません。
手元資金に余裕があって、今の時点で借りる必要は無いと思っても、銀行が借りて欲しいと提案してきているのであれば、とりあえず借りておきましょう。
まとめ
以上、複数の銀行から融資を受けた方が良い?それとも、一行と付き合い続けるべきなのか?という事について解説しました。
一行取引はリスクが大きいので、2行以上の銀行から融資を受けるようにしましょう。