資金調達
カード選び
数年前に金融機関から融資を受けたけど、返済できなくなり、あと数百万円の負債が残ってるよ。
数千万とか何億も負債を抱えた人と比較すると、ウチの負債なんて数百万円程度だから、債権カットの交渉も簡単ですよね?
負債が少ないと債権カットの交渉が簡単かどうか教えて欲しい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
資金繰りにお悩みのお客様からよく、「負債が多いと債権者も債権カットになかなか応じないでしょうから、負債が少ない方が債権カットの交渉が楽ですよね」というご質問を受ける事が少なくありません。
負債が多いと債権者としても債権カットになかなか応じようとしないのではないか?というイメージがあるのだと思いますが、結論から言うと、負債が少なければ少ないほど債権カットの交渉は難しくなり、負債が多ければ多い程、債権カットの交渉はしやすくなります。
なぜ、このような事が起こるのか、順を追って解説します。
負債が多い方が債権カットの交渉がしやすい理由は下記2つです。
上記のとおり。
ある日突然、何億円もの負債を背負う事になってしまった、という状況を想像してみてください。
何億円もの負債なんて一生かかっても返せません。試しに電卓で計算してみたら、完済するのに○百年かかるとの計算結果が出ました。
このような状況に陥ってしまったら、どうしますか?
恐らく、下記いずれかの選択をするのではないでしょうか。
筆者もいずれかを選択すると思います。そもそも、真剣に悩むのもアホらしくなる金額です。
債権者は、債務者のこうした心理を理解しています。
いくら債権者が「私はあなたから債権を回収する権利がある」と主張したところで、債務者に「悩むのもアホらしい金額」と思われてしまったら、債権回収は絶望的となります。
債権者がどんなにしつこく催促しても、債務者が何とも思わないのですから、回収しようがありません。
こうなると、債権者としても全額回収を諦めるしかなく、債務者が現実的に払える金額まで譲歩するしか回収の手立てが無くなってしまうのです。
例えば、以下のような状況にある債務者が、債権者に請求を受けたとします。
こういった状況にある債務者から債権回収を図る場合、債権者としては、どのように請求すれば1万円でも多く回収できるようになるでしょうか。
恐らく、③を選択するのではないでしょうか。
債権者は債務者に対して5億円請求できる権利を持っていますが、回収できなければ5億円の債権もただのゴミです。
債権回収は回収してなんぼの世界ですから、いくら多額の請求権を有しているからといっても、1円も回収できなければ何の意味もありません。
そのため、債務者が払いやすいように譲歩して、1万円でも多く回収した方が債権者としても得するわけです。
負債が少ないと債権カットが難しい理由は下記1つです。
上記のとおり。
負債が100万円~300万円ぐらいの金額だと、債権者は債権カットに応じようとしません。
負債が100~300万ぐらいだと「支払いは厳しいけど、切り詰めれば数万円のお金は残る。破産するとブラックリストに載ってクレジットカードが使えなくなるし、住宅ローンも組めなくなるから、これぐらいで破産するのはちょっと…」 と考える方が増えてきます。
サラリーマンの方なら、これぐらいの負債でも破産する方が出てくる可能性はあります。
しかし、経営者の方であれば「100~300万円ぐらいの負債ならなんとかなりそうだ」と考える方が多いので、これぐらいの負債で破産を考える方は殆どいません。
当然、債権者もこのような心理状況を突いてくるワケです。
債務者が「資金繰りが厳しいから返済する金が無い、破産しかない」と開き直ったとしても、
債権者からすると「破産する気があるならさっさとしてみろ!どうせ口ばかりで破産する気なんてあるはずが無い」と考える訳です。
こうなると、執拗に催促してきたり、訴訟を起こして債務者に精神的な揺さぶりをかけてきたりします。
このように、負債が少ないほど、債権カットの交渉は難しくなるのです。
ちなみに、負債が10万円以下の場合、訴訟すら起こしてこないケースが殆どです。
訴訟を起こすのはタダではできません。必ず費用がかかりますので、10万以下の負債でいちいち訴訟をおこしていたら経費倒れします。
そのため、10万円前後かそれ以下の負債の場合は淡々と葉書などで請求する場合が殆どなので、負債が少なければ時効で処理することができます(時効の援用をする必要があります)。
以上、負債が少ないと債権カットの交渉は簡単なのか?ということについて解説しました。
負債が少ない方が債権カットに応じて貰いやすいイメージをお持ちの方が少なくありませんが、実際は全くの逆となります。
負債が少なければ少ないほど債権カットの交渉は難しく、負債が多ければ多い程、債権カットの交渉はしやすくなるのです。
ちなみに、以下の記事で「事業規模が小さい方が事業再生は簡単なのか?」という、本記事と関連性の高い内容を詳しく解説していますので、こちらも是非どうぞ。