
手元資金に余裕が出てきたから繰上返済して借入を減らそうと考えているけど、銀行の心証が悪くなったりしないかな?銀行の立場で考えると利息収入が減る訳だし…。
繰上返済を実行して借入を減れせれば金利支払いの負担が無くなるから利益率も改善するし、銀行も回収不能に陥るリスクが無くなる訳だから、お互いメリットしかなさそうな気もするけど。
繰上返済すると銀行からの心証が悪くなるかどうか知りたい。
この記事では、こういった疑問にお答えします。
銀行融資を繰上返済しても心証が悪くなるようなことはない【結論】


銀行融資を受けている企業で次のようなケースがあった場合。
「期間5年で運転資金の借入を起こしたものの、手元資金が余ってしまい、持っていても使うアテも無いから、繰上返済して借入を減らそうかな…」
運転資金の融資を申込んで融資を受けたは良いけど、実際、殆ど手つかずで資金を眠らせているようなケースをたまに見かけます。
このようなケースは、借りて使うアテも無いのに、毎月金利を支払う事になりますので、返済期間を待たずに繰上返済して金利支払いを無くそうと考える場合があります。
この時、期間5年という約束の元で借入を起こしたのだから、繰上返済すると銀行の心証が悪くなったり、その後の取引にマイナスになるようなことが無いか、不安に思う方がいますが、
結論から言うと、繰上返済を実行しても、銀行からの心証が悪くなったり、その後の取引にマイナスの影響が出るようなことはありません。
繰上返済できる企業は事業が順調な証
そもそも、繰上返済を実行できる企業は、事業が順調で返済財源が潤沢にあるからこそ繰上返済ができるわけですから、銀行からはプラスの評価を受けます。
- 返済財源が潤沢にある企業 = (イコール)優良企業
従って、今後の取引にマイナスの影響を及ぼすような事もありません。
ただ、銀行融資を繰上返済することは銀行からプラスの評価得る反面、マイナスの側面もあるということを理解しておきましょう。
銀行融資を繰上返済する時の注意点3つ


銀行融資を繰上返済する時の注意点は下記3つです。
- 手元資金が減るので資金繰り的にはマイナス
- 繰上返済した事実は過去のことなので次の審査に生かされない
- 銀行からの信用は無くなる
上記のとおりです。
手元資金が減るので資金繰り的にはマイナス
説明するまでもないですが、繰上返済を実行するということは手元資金が減ると言う事を意味します。
- 繰上返済 = 手元資金が減る
繰上返済を実行するということは「現時点でそこまでの手元資金を持っておく必要がない」と判断したからこそだと思います。
しかし、万が一の事態が起こり、急にまとまった資金が必要となった時に、銀行が貸してくれる保証は一切ありません。
このように、繰上返済を実行した後に、手元資金を超える急な支払いが発生したら、対応できなくなるというリスクがある事に注意しましょう。
繰上返済を検討する時の手元資金の判断基準
繰上返済を実行しても、平均月商の3ヶ月を超えるキャッシュが手元に残るなら、繰上返済しても問題ありません。
平均月商の3ヵ月を超えるキャッシュが手元にあると、取引先からの支払い遅延や、大型案件を受注して先行資金が発生するなどの事態が起こったとしても、資金繰りは円滑に回ります。
しかし、平均月商の3ヵ月を下回ると、突発的なトラブルが発生したら資金繰りがまわらなくなる可能性も出てきますので、繰上げ返済後の手元資金の量には気を付けましょう。
繰上返済した事実は過去のことなので次の審査に生かされない
繰上返済すると「返済実績ができる訳だから、次の融資の審査に有利」と思い込む方がいますが、そのようなことはありません。
もちろん、「返済実績がある」という定性面でのプラスの評価は残りますが、融資を申込んだ時点での財務内容が悪ければ審査は通りません。
銀行融資は定量評価が8割です。
過去に返済実績があるからといっても、融資を依頼した時点での財務内容が悪ければ融資は受けれません。
銀行からの信用は無くなる
「繰上返済した事実は過去のことなので次の審査に生かされない」という項目で繰上返済すると評価はプラスとお伝えしているのに、信用が無くなるというのは、疑問に思うかもしれません。
借りた金を完済しているのに、なぜ信用を失うことになるのか。
理由は、銀行は融資を受けている企業を信用するからです。
銀行は融資を受ける事ができる企業を信用する
融資を受けることができる企業は「銀行が融資を実行しても、きちんと返済してくれる見込みがある企業」ということを意味します。
したがって、銀行は融資を受けることができる・融資を受けている企業を評価します。
また、銀行は手元資金に余裕のある企業を評価しますので、手元資金がギリギリの企業は危険と判断します。
例えば、次のようなケースであれば、銀行は後者を「安全性が高い」と評価します。
- × 運転資金10(全て自己資金)
- 〇 運転資金100(3は自己資金で残りの97は銀行から調達)
複数行と取引していると新たな融資を受け難くなるという弊害がある
例えば、3つの銀行と取引しているような場合、そのうちの1つの銀行に繰上返済した場合、次のような場合ことが想定されます。
- A銀行(繰上返済実行)→ プラスの評価を得る
- B銀行(A銀行に繰上返済した事実を知る)→「A銀行と何かトラブルでもあったのか?、当行も貸出を絞るべき?」
- C銀行(A銀行に繰上返済した事実を知る)→「B銀行の出方を見てから検討しよう」
A銀行からの融資を繰上返済すると、A銀行からはプラスの評価を得ることができますが、他行からは怪しまれる可能性があります。
銀行は良くも悪くも横並び主義なので、B銀行、C銀行から「貸出を控えた方が良いのでは?」という見方をされてしまい、新規融資が受け難くなることがあります。
ですので、繰上返済の実行を検討する際は、慎重に考えるようにしましょう。
まとめ
以上、銀行融資を繰上返済すると、銀行からの心証が悪くなるかどうか?と、繰上返済する時の注意点について解説しました。
おわり。
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