あなたもご存知の事だと思いますが、債権者と債務者は、利益相反関係にあります。どちらか片方が多く取ってしまえばもう一方の取り分は少なくなってしまいます。1つのパイを奪い合うような関係にあるといえます。
このようにお話しすると、債権者と債務者は利害が一致することなく、両者は常に奪い合うような関係なのか。という印象を受けるかもしれませんが、実は、そのような事はありません。
債権者と債務者の利害が一致する事もあるのです。
債権者と債務者の利害が一致する2つのポイント
利益相反関係にある債権者と債務者ですが、下記2点において、利害が一致します。
- お互い早く問題を片づけたいと考えている
- パイが1つしかないから、両者が協力してパイ自体を大きくする
お互い早く問題を片づけたいと考えている
恐らくこれを読んだあなたは、「そりゃそうだ」と思ったかもしれません。このブログを読んでいるあなたは、恐らく、債務者の立場だと思いますから、早く問題を片づけたいと考えていると思います。だって、この先何十年もダラダラと返済してもラチがあかないですもんね。
あなたがそう感じているのと同じように、債権者も早く問題を片づけたいと考えています。債権者からしたら、不良債権をいつまでも抱えている訳にはいかないという事情があるのです。
ちなみに、この問題を解決するのはそんなに難しい事ではありません。交渉してお互いが納得する返済を行い、不良債権を処理する事はお互いにとってメリットのある事なのです。
パイが1つしかないから、両者が協力してパイ自体を大きくする
両者が協力して、パイを大きくすることができれば、お互いの取り分が大きくなるので、債権者と債務者の利害が一致します。100あったパイを、120にすることができれば、お互に得られるものが大きくなる訳ですからお互い納得いきますよね。
これの一番分かりやすい例が、不動産の任意売却です。
債権回収の局面で担保物件を競売にかけ、資金回収する場面が出てくると思います。債権者の立場からしたら競売にかけるより任意売却で不動産を売却した方が、競売にかけるよりも多く回収できます。
そして、債務者の立場からしたら任意売却で不動産を売却した方が風評被害を回避できます。「債権者に競売にかけられた」という信用を棄損しかねない情報が外部に漏れる事が無いからです。

債権者と債務者はの関係は一見すると常に対立しているような関係にあると思われがちです。でも、このように、債権者と債務者の利害が一致する事により、お互いにとってメリットが生まれる事もあるのです。
まとめ
今日のお話しを一通り読んで頂ければ分かるかと思いますが、間に誰か入る必要なんて全くありません。「弁護士に依頼して交渉してもらう」などと言い出す経営者の方をみかけますが、こういった交渉は、誰でもできます。第三者に頼む必要性がありません。
取引先との商談となんら変わりないのですから、経営者の方が交渉した方が良いのです。
