資金調達
カード選び
業績が悪化して債務超過になってしまった…。
資金繰りを確保するために銀行に新規融資の相談をしたら断わられた。銀行に見放されてしまったよ。
借入が多く、常に資金繰りが厳しいです。ウチの会社は末期ですか?
この記事では、こういった疑問にお答えします。
なお、この記事を書いている筆者は、2009年から現在まで資金繰りや事業再生に関するご相談を経営者様から受けており、資金繰りにお困りの方からよく「ウチは末期です」というご相談を受けます。
様々な中小企業の経営者から相談を受けている経験から、会社の末期状態について解説します。
長年、資金繰りにお悩みの方から、「ウチは末期です」とよく言われますが、財務資料を拝見すると下記のような共通点があります。
いずれも、借入過多、若しくは収益力の低下に起因するものです。
このような状況であれば確かに、資金繰りにお悩みであることが容易に推察できますが、この程度で「末期」などと言っていたら、殆どの中小企業が末期に該当することになってしまいます。
それでは、どのような状態が本当の末期症状なのか、資金繰り・事業再生コンサルタントをしている筆者が思う「これは末期症状だ」と感じるポイントを解説していきます。
本当の意味で「末期症状」と言えるのは、次の6つの症状のいずれかに該当している企業だといえます。
上記のとおり。
「ウチは末期です」と口にする方から決算書を拝見させて頂く際、筆者は必ず「役員報酬はきちんと手に乗ってますか?」という質問をします。
この時、「報酬を受け取らないと生活ができないので、報酬はきちんと手に乗っています。」という返答が返ってこれば問題無いのですが、末期になると役員報酬が手に乗らないケースが散見されます。
よくあるケースは下記のとおりです。
つまり、決算書の数字を帳尻合わせして、役員報酬が実質的にゼロの状態です。
この状態になると、貯金を切り崩して生活することを余儀なくされるため、資金繰りはとてつもなく厳しくなります。
これが、直近1年以内の出来事なら、末期とまでは言いにくいですが、この状態が2年も3年も続いていると「これは末期症状かも…」と感じてしまいます。
「売上が減少傾向にある」という程度のことであれば、売上に合わせて事業規模を縮小していけば資金繰りはなんとかなりますから、何とかなると思います。
しかし、下記いずれかに該当する場合、「末期症状」なのかなと思います。
特に、事業規模が小さい企業がこのような状況に陥ってしまうと致命的です。
このことは、「事業規模が小さいと事業再生は簡単?【結論:個人・零細企業の方が難易度は高い】」という記事で詳しく解説していますので、興味のある方は是非どうぞ。
資金繰りのことで日常的に悩むようになると、経営者が鬱(うつ)病になってしまうケースはよくあります。
鬱病になったといっても、症状が軽ければ事業継続に重大な支障をきたすことはありませんが、症状が重くなり、経営者が下記のような行動を取るようになると「末期状態」に該当すると思います。
信頼している役員や社員が会社を食い物にしているというケースもよく聞きます。
経営者が日々、役員や社員の動向に目を光らせていればこのような問題も起こらないですが、病気などで体調が悪くなったり、鬱病になってしまい、出社するのが難しくなると、役員や社員が会社の金を好き勝手使うというのはよくある話です。
経営者が出社しないことをいいことに、会社の金を好き勝手使い、挙句の果てには経営者が関知していないのに負債が増えているなんてケースもよくある話です。
出社して陣頭指揮を執れるレベルまで体調が回復したり、鬱から抜け出せれば良いですが、
体調が回復しない、あるいは鬱から抜け出せず、社員に好き勝手にやられ、どうする事もできないというお話を聞いてしまうと「こりゃ末期だな」と感じます。
今でこそ「ヤミ金に手を出してしまいました…」というご相談はめっきり無くなりましたが、2016年ぐらいまでは、「実は、ヤミ金に手形を振り出してしまいまして…」というご相談がよくありました。
ヤミ金に手を出しても、弁護士に相談したり、警察に相談するなどして、すぐに手を切れる方なら問題ありませんが、なかにはヤミ金の言いなりになっている経営者の方がけっこういました。
ちなみに、ひとことで「言いなりなっている」といっても、その症状別に4段階あります。
例えば、筆者がお客様から「ヤミ金から借入がある」と打ち明けられた時に、
ヤミ金と手を切らせるために「今日か明日にでも弁護士か警察に相談しましょう!」と強く勧めた際に、症状別に次のように対応が分かれます。
特に末期になるとホント最悪で、筆者が弁護士や警察に相談するよう促しても、ヤミ金の身を案じることしか言わなくなったり、ヤミ金をかばう発言をするようになり、気が付くと筆者が悪者になってたりすることすらあります。
こうなると「こりゃ手の施しようがない末期状態だ」と感じます。
ファクタリングは、商取引で発生した売掛債権をファクタリング会社に買い取って貰うことで売掛金を早期に現金化できる資金調達方法です。
資金調達が難しい企業が利用しやすい資金調達方法として、ここ数年間で利用者が増加傾向にあります。
ファクタリングは売掛金があれば申し込みから数日以内に現金化できるメリットがある一方、売掛金の買取手数料が高額というデメリットがあります。
ファクタリングの買取手数料は取引先に知らせるか知らせないかで大きく変わります。
ちなみに、ファクタリングの手数料相場は下記のとおりです。
取引先に知らせる場合、手数料は数%で済むので、収益に若干の影響を及ぼすものの、倒産の引き金を引くほど大きな影響を与えることはありません。
しかし、取引先に知らせない「2社間ファクタリング」を利用するとなると話しは別です。特に、20%を超える高額な手数料をチャージされているような場合、収益に大きな影響を及ぼします。
例えば、これは実際に相談を受けたケースなのですが、利益率が平均20%前後の業種なのに、20%の買取手数料をチャージされながらファクタリングを利用していた経営者の方がいました。
一つの受注につき、利益率が平均20%前後なのに、20%の手数料をチャージされたらどうなるか。
単純に、プラスマイナスゼロになります。
プラスマイナスゼロだと固定費が賄えないので、営業を続ければ続けるほど、固定費で赤字になります。
このような計算ができず、毎月高額な手数料を取られながらもファクタリングをやめようとしない経営者の方を見てしまうと「こりゃ末期だな」と感じてしまいます。
「ファクタリングをやめたい!【現役コンサルがやめ方を解説】」で解説しているとおり、融資に切り替えるか、あるいは手数料の低いファクタリング事業者に乗り換えない限り、先はないと思います。
以上、会社の末期症状とはどのような状態なのか?について解説しました。
お気づきだと思いますが、負債が多いというぐらいのことで末期とまでは言えません。
このような状態は資金繰り面で言えばマイナスではありますが、この手の問題は返済方法を調整すれば何とかなるので、末期症状とまでは言えません。
従いまして、「債務超過・借入過多・銀行からの資金調達が難しい=(イコール)末期」という考えを持つ必要は無いと言えます。
ちなみに、基本的には破産をすすめることのない筆者ですが、過去2つのケースで破産を勧めたことがあります。興味のある方は以下の記事をどうぞ。