近年、金融機関と事業会社との連携により、AI(Artificial Intelligence:人工知能)融資という手法が増えてきています。
金融機関の融資は従来、人が融資の審査を行っていましたが、人に代わり、AIが融資の審査を行い、融資の可否を行います。
AI融資と一般的な融資との違い

一般的な法人向け融資は、決算書の提出や来店による面談が必要となり、審査にも時間がかかります。AI融資は、会計データの連携を行う事により、これらの手続きが不要となり、借り手と貸し手の手間が軽減される事になります。
AI融資は少額融資がメイン
AI融資は基本的に少額融資がメインとなります。
少額融資は金融機関からしたら儲けが少ない割に手間は通常の融資と殆ど変わらないため、貸し出しを渋られる傾向があります。
AI融資は金融機関側の手間が殆どかからないため(全てシステムが行うため)、従来の融資制度でカバーしにくい小規模事業者や個人事業主の少額・短期の資金需要をカバーしており、非常に良い仕組みと言えます。
AI融資の利用イメージ
AI融資の利用イメージは
- ウェブサイトやスマートフォンのアプリから融資申請を行う
- AIで融資の審査を行う為、融資の可否がすぐに判断される
- 融資可能であれば、すぐに送金される
といった3ステップです。
一般的な融資は審査の部分で多くの時間を費やしますが、AI融資はAIで瞬時に判断されるため、審査に費やす時間が劇的に短縮されました。
これにより、即日融資が可能となります。
AI融資を行っているサービス3選

それでは、現在、AI融資を行っているサービスを3つ紹介します。
J.SCORE(ジェイスコア)

J.Score(ジェイスコア)は、みずほ銀行とソフトバンクが50%づつ出資して設立された合弁会社で、日本発のAI(人工知能)によるスコアレンディングサービスを提供しています。
公式サイト:J.Score(ジェイスコア)
AIスコアレンディングとは
AIスコアの水準に基づき、金利・極度額といった条件の参考値を提示する個人向け消費性融資サービスです。
但し、最終的な融資の決定、融資条件には別途所定の審査があります。
- 消費者金融では珍しく低金利で利用できる
- カード発行なし・来店不要なので、スマートフォンだけで手続きが完了
- 申込みから借入まで最短30分(ただし、はじめて利用する方は本人確認が必要となります)
- AIスコアがアップすると、利用条件が良くなります(利用枠、金利等)
- みずほ銀行、若しくはソフトバンクを利用している場合、情報を連携する事によりAIスコアがアップする可能性があります。また、スコアレンディングの金利がそれぞれ年0.1%引き下がるメリットがあります。
- 総量規制を超えた借入はできない(個人向けのため)
実質年利 | 利用限度額 | 申込資格 |
---|---|---|
0.9%~12.0% | 最大1,000万円 | 20歳~70歳以下 |
審査時間 | 担保・保証人 | 総量規制 |
最短30分 | 不要 | 対象(年収の3分の1まで) |
なお、J.Score(ジェイスコア)は個人向けのAI融資ですが、法人向けは「みずほスマートビジネスローン」という名称でAI融資を扱っています。
ALTOA(アルトア)

ALTOA(アルトア)は、オリックスと弥生会計が共同出資する、アルトア株式会社がサービス提供するオンライン融資サービスです。
公式サイト:ALTOA(アルトア)
オリックスと弥生会計が設立したアルトアのオンライン融資サービスは、オリックスが持つ与信ノウハウ、弥生が持つ会計ビッグデータと、協業先であるd.a.t.株式会社のAI技術を活用した新たな与信モデルによる、短期・小口に特化した小規模事業者向けオンラインレンディングサービスです。
- 会計ソフトは「弥生会計」を使用していないと利用できない
- 1年以上の業歴が必要
実質年利 | 利用限度額 | 申込資格 |
---|---|---|
2.8%~14.8% | 50万円〜300万円 | 法人・個人事業主(注) |
審査時間 | 担保・保証人 | 総量規制 |
最短即日融資 | 不要 | 法人のため対象外 |
LENDY(レンディ)

LENDY(レンディ)は借入の申請から審査、入金、返済に至るまで、全ての手順がオンラインで完結できるサービスです。
公式サイト:LENDY(レンディ)
アカウント登録は5分程度で完了し、登録が完了すると借入可能額が算出される便利な仕組みとなっています。借入可能額を確認後、面倒な書類の準備を必要とせず、 資金が必要な時にいつでも借入の申し込みが可能です。
他サービスと比較すると若干金利が高めではありますが、申込から実行に至るまでのスピードや、必要書類が少ないという事を考慮すると、非常に便利なサービスだと思います。
- 最短5分で審査
- オンライン完結なので、面倒な書類作成が一切不要
- 最短、翌営業日に入金(ただし、はじめて利用する方は本人確認が必要となります)
- 融資対象者は法人・個人事業主のみ
実質年利 | 利用限度額 | 申込資格 |
---|---|---|
8.0%~18.0% | 10万~500万円 | 20歳~64歳まで |
審査時間 | 担保・保証人 | 総量規制 |
最短5分 | 不要(法人は代表者保証が必要) | 法人のため対象外 |
まとめ
上記3つのなかで、事業者が利用しやすいのは3番目に紹介したLENDYです。
J.Score(ジェイスコア)は個人向けですし、ALTOA(アルトア)は弥生会計を使用していないと利用できないので、そのような制限なしに利用できるとなると、今のところLENDYになると思います。
金額が大きいAI融資がお望みならPayPay銀行という選択肢もありますが…
ここでは紹介していませんが、PayPay銀行(旧称ジャパンネット銀行)ではすでに法人向け融資でAIを活用した融資を行っています(2016年10月にサービススタート)。
AIを使ったクラウド会計ソフトfreee(フリー)と連携し、企業の資金取引や業績をリアルタイムで把握・分析する事により、無担保・無保証の融資でも最短即日で決定できるのが特徴です。
融資可能な金額は50万~3,000万円と、ここで紹介したAI融資の中で最も金額が大きいですが、Yahoo!ショッピング・ヤフオク!出店者、若しくはクラウド会計ソフト freeeユーザー企業向けと限定されるため、使い勝手は若干微妙なところです。
ただ、freeeを使用している企業は、申し込んでみる価値はあると思います。
一応、下記記事で紹介していますので、興味をお持ちの方はぜひ参考にして下さい。
