信用保証協会に代位弁済された求償権の時効は何年?起算点や事例を解説

信用保証協会に代位弁済された求償権の時効は何年?起算点や事例を解説

信用保証協会に代位弁済された求償権の時効は何年?5年 or 10年?

代位弁済になったら時効の起算点は何時の時点から計算すれば良いの?

時効を狙うことを視野にいれているから、詳しく知りたい。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

本記事の内容
  • 信用保証協会に代位弁済された求償権の時効は5年
  • 信用保証協会が訴訟を起こしてくるから5年では終わらない
  • 信用保証協会に代位弁済された求償債務の連帯保証人の時効に関するよくある疑問

なお、この記事を書いている筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰りや事業再生コンサルタントとして活動しております。

これまでお手伝いさせて頂いた企業は年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。

こういった経験を元に、この記事では、信用保証協会に代位弁済された求償権の時効は何年なのか、時効の起算点や事例を解説します。

目次

信用保証協会に代位弁済された求償権の時効は5年

一般的に、債権の消滅時効は原則5年となっています。

(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法 第166条第1項 | e-Gov法令検索

民法改正に伴い、債権の消滅時効は商取引によって生じた債権(商事債権)であっても、原則5年で時効になります。

そのため、返済をストップしてから時効の中断をされず、5年経過すれば時効は成立します。

時効の中断とは

貸し主からの請求(内容証明・支払督促など)があったり、差押え・仮差押え・仮処分を受けたり、債務を承認すると時効は中断します。

(請求書を送付するだけでは時効は中断しません。)

時効を成立させるには、時効の援用をする必要があります。

求償権の時効の起算点はいつからカウントされるのか

信用保証協会に代位弁済された求償権は、代位弁済が実行された時からカウントされます。

代位弁済について詳しく知りたい方は「【保存版】信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?【網羅的に解説】」をどうぞ。

信用保証協会の保証付き融資が90日間以上延滞すると期限の利益喪失となり、保証付き融資は信用保証協会に対して代位弁済請求をすることになります。

ただ、この時点では銀行が債権を有していますので、信用保証協会は求償権を取得していません。

銀行からの代位弁済請求に信用保証協会が応じて、肩代わり弁済を行った時点ではじめて時効がカウントされるようになります。

例えば、以下のようなケースだと、消滅時効は令和2年6月からカウントします。

  • 保証付き融資の返済を最後に行った日 → 令和2年3月
  • 信用保証協会が銀行に代位弁済を実行した日 → 令和7年6月

令和2年6月の5年後にあたる、令和7年6月までの間に時効の中断をされなければ、消滅時効の援用ができるようになります。

信用保証協会が訴訟を起こしてくるから5年では終わらない

信用保証協会に代位弁済された求償権の時効期間は5年なので、5年間時効の中断をされずに時効が成立し、時効の援用を行えば負債は消滅します。

しかし、信用保証協会が簡単に諦めるような事はありません。

時効が到来しそうな時期が近づいてきたら訴訟を起こしてきます。

訴訟を起こされたら10年延びる

求償権を有する信用保証協会に訴訟を起こされたら時効が10年延長されます。

ですから、時効を狙っている方は、16年ぐらいのスパンで考えておくと良いかと思います。

必ず訴訟を起こされるの?

時効を迎えそうになったら信用保証協会に必ず訴訟を起こされてしまうの?というと、一概にそうとは限りません。

基本的に、訴訟を起こしてくる場合が殆どなのですが、必ず訴訟を起こされるとは限らないのです。

理由は分かりませんが、何もしてこない場合もあります。

こればかりは、実際に時効間際の対応を見てみないと分からないのです。

債権の一部を対象に訴訟を起こすケースがある【実質的な債権放棄】

知人のケースを紹介しておきます。

Aさんは、数年前に1億3千万円代位弁済されたのですが、商事債権の時効が近づいてきた時期に、保証協会から訴訟を起こされてしまいました。

訴訟を起こされてしまったら時効が10年延びてしまいます。

「もしかしたら、時効を迎えるのかな?」等といった甘い期待もありましたが、結局は訴訟を起こされてしまいました。

裁判所からの訴状が届いたので、開封して書類を読んでみると、訴訟の金額が2,000万円になっていました。

「1億3千万円の負債があるのになぜ?」

実は、債権の一部を対象に訴訟を起こしてきたのです。

残りの1億1千万は訴訟の対象ではありませんので、5年の時効が成立しました。

時効の援用をする事により、1億1千万円の負債は時効で消滅してしまいました。

提訴された2,000万円に対する求償権は相変わらず残っていますが、1億1千万円は時効が到来し、負債が消滅しました。

これにより、Aさんは実質的な債権放棄を受けたのです。

ちなみに、信用保証協会の債権放棄について、以下の記事で詳しく解説していますので参考にして下さい。

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信用保証協会に代位弁済された求償債務の連帯保証人の時効に関するよくある疑問

最後に、連帯保証人の時効に関するよくある疑問を1つだけ紹介します。

  • 主債務者が支払いをしていると時効にならない?

上記のとおりです。

主債務者が支払いをしていると時効にならない?

基本的に、主債務者が1円でも返済している限り、連帯保証人の時効が中断することはありません。

例えば、代位弁済になるとよくあるのが以下のケースです。

  • 主債務者 → 少しずつ返済している
  • 連帯保証人 → 代位弁済をきっかけに主債務者と疎遠になり、負債の支払い状況はよく分からない。債権者から連絡(請求)がこないので、時効になったと思い込んでいる。

このような場合、主債務者が支払いをしているので、時効ではありません。

この事について、民法では以下のように規定しています。

(主たる債務者について生じた事由の効力)
第四百五十七条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。

出典:民法 457条 | e-Gov法令検索

つまり、主債務者が債務を承認したり、保証協会から提訴されたりして時効が中断した場合、連帯保証人の保証債務の時効も中断します。

まとめ

以上、信用保証協会に代位弁済された求償権の時効について解説しました。

5年間、時効の中断をされなければ時効が到来しますので、時効の援用をすれば負債は消滅します。

ただ、結構な確率で訴訟を起こされると思いますが、必ずしも求償権全額に対して訴訟を起こしてくる訳ではありません。

今回の記事が時効狙いで返済をストップしようと考えている方の参考になれば幸いです。

ちなみに、以下の記事で代位弁済後の選択肢について解説していますので、興味のある方は是非どうぞ。

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