先月、リスケジュールについて、何件かご相談を受けました。
私のところへご相談に来られる方は、「当社はすでにリスケジュール中です」という方が少なくないので、リスケジュール視野に入れているという方からご相談を受けると、若干、不思議な感覚があります。
ご相談者様のケースは様々で、リスケジュールを検討しているとは言っても、ヒアリングしてみると
- 今すぐリスケジュールしなくても、借り換えで何とかなる。
- 「○千万なら融資できると思います。ただ、これ以上の融資は今後難しくなる」という類の提案を受けている。
という方もいらっしゃれば、
- あと○か月は約定弁済でも持つが、それ以上は返済を止めないと、資金ショートは確実。
- 返済日は明日・明後日と迫っており、どのように対応したらよいか悩んでいる。
という方もいます。
今後、全く借りれないという事でしたら、「今すぐリスケジュールした方が良いですよ」と伝えますが、少しでも借りれるような状態であれば「借りれるうちは目一杯借りた方が良いですよ」と伝えます。
私がこのようにアドバイスすると、ほとんどの方がご自身ですぐに金融機関に連絡するのですが、たまに、「交渉は経理担当者じゃダメですか?」とか「顧問弁護士・顧問税理士に依頼して、交渉してもらった方が良いですか?(若しくは、一緒に来て貰った方が良いですか?)」と聞かれる事があります。
正常な金融取引をしている時であれば、社長が直接対応しなくても、経理担当者が対応すればよいですが、リスケジュールの時は話が別です。
担当者任せではなく、経営者本人が直接交渉した方がよいです。また、専門家に交渉してもらったり、同席させるのもNGです。
ですから、このように言われたら、私は決まって「絶対に一人で行った方が良いです!」と答えてます。
そもそも、リスケジュールの交渉ぐらいで専門家の方と交渉しても意味がありません。
「そんな金があるなら、返済に充当せよ」と思われるのが関の山です。
後から言われる言われるならまだしも、同席している専門家目の前で言われたら、その方の立場もなくなります。そんな事になったら、その専門家の方との付き合いが後々気まずくなったりしますから、こうした交渉は一人でやるべきです。
また、これは、取引先の延払いの交渉も同じです。社内の人間と一緒に行く分には問題ないですが、外部の人間と一緒に行くと、けっこう嫌がられることがあります(露骨に嫌がるケースも少なくないです)。
逆の立場で考えてみて下さい。
支払い遅延を起こした取引先の社長が、専門家と一緒に来て、事務的に支払いができない旨説明をされ、当事者である経営者がダンマリを決め込んでいたら、「は?ちょっと違うんじゃないの?」って思いませんか?
私だってそう思います。
「自分で正直に言えばいいのに、何でわざわざ専門家を通して言ってくるの?」って思いますよね。
これがきっかけで取引先との関係がぎくしゃくしたり、取引量を減らされたり、最悪、取引停止になったら目も当てられませんから、こうした交渉事は社長自身がやるべきです。
専門家が同席した方が良い時もある。
大がかりな事をしなければならない場合。
例えば、第二会社方式による再生や、不動産の任意売却を検討しているような場合であれば、専門家の同席があった方が良いです。複雑かつ専門的な知識を必要としますから、そういった時は、専門家を同席させた方が良いです。
第二会社方式の詳しい解説は以下の記事を参考にして下さい。

リスケジュールぐらいで、一緒に行ってはダメです。社長の株を下げてしまうだけです。
リスケジュールという言葉が世の中に浸透している昨今、
「リスケジュールの交渉を人任せにしようとする人なんて、さすがにもういないだろうな~」なんて思っているとたまに見かける時があります。
リスケジュールの交渉や、延払いの交渉に行きたくないという気持ちも理解できなくないですが、こればっかりは人任せはダメですよね…。